水からこだわり自慢の味を築き上げ
体に優しい韃靼そばを一人でも多くの人に
七飯町で24年営業した「ふでむら大中山店」が、今年7月に「蕎麦と天ぷら 千乃家」として移転リニューアル。函館には「ふでむら」というそば処が複数あるが、それぞれが別経営で独自の色を打ち出しているため、「こだわりや違いを伝えられたら」と代表の筆村千恵子さんは看板に自分の名前から一字掲げ、新たなスタートを切った。
ガラス張りの厨房を備える新築の店舗で味わえるのは、こだわりの水を使う自家製麺のごまそばと韃靼そば。石臼挽きの道産そば粉にロール挽きのそば粉を配合するごまそばは、黒ゴマの油分が加わることでよりツルリとした喉越しに。紋別郡雄武町産のそば粉を使う韃靼そばは、かみしめるたび独特の苦みが口の中にじわりと広がるほかではなかなか味わえない一品だ。 〝苦そば〟とも呼ばれる韃靼そばの苦みは、加工前の段階で通常のそばの実の約100倍含まれるルチンという成分が、加水することでポリフェノールの一種・ケルセチンに変化することに由来。健康食材として20年来着目してきた筆村代表は、北海道立工業技術センターや大学の協力を得ながら、ケルセチンに期待される抗酸化作用などを最大限に引き出した状態でそばを製麺・冷凍する技術を確立。土産品として全国に販売出来る商品へと成長させてきた。「少しでも多くの人に韃靼そばを食べていただきたい。いずれは函館土産として発信していけたら」と、「1001」のブランド名で冷凍韃靼そば「千乃韃靼」の販売も始動。テイクアウトにも力を注ぎ忙しい日々を過ごしているが、「皆さんにおいしいと喜んでいただける。人生でなかなかないことです。これからも応援よろしくお願いします」とやりがいをにじませる。長年の研究成果が詰まったこだわりのそばを、口にすると音がするほどサクサクの天ぷらと一緒に堪能したい。
(ハコラク 2020年10月号掲載)
蕎麦と天ぷら 千乃家
函館市桔梗4‐3‐16
☎0138‐85‐6934
11:00~15:00
(14:30L.O)
金~日曜は16:00~18:30
不定休(9月16日は休み)
禁煙 P有り(10台)
キャッシュレス決済利用可