全脊椎レントゲン撮影について
「大きく息を吸って、止めてください」。健診などで心臓や肺の状態を確認するための胸部レントゲン撮影や、体のどこかを強くぶつけた際に骨折しているかを確認するためのレントゲン撮影、これらが一般的なレントゲン撮影のイメージかもしれません。そんなレントゲン撮影ですが、背骨を1枚の画像として撮影することができる「全脊椎撮影」と言われるものがあります。これは頚椎・胸椎・腰椎と3回に分けて撮影し、それらを繋ぎ合わせ、1枚の背骨の画像を作るものです。この全脊椎撮影は、ロコモティブシンドロームの診断の1つになりうるとして検討が進められています。ロコモティブシンドロームとは、加齢により骨・筋肉・神経の機能が低下し歩行などの移動が困難になる状態を指します。
突然ですが健康寿命という言葉をご存じでしょうか?これは介護や支援を受けずに日常生活を送れる状態を表した年齢です。日本人の健康寿命は約75歳となっており、平均寿命と健康寿命の差が約10年あることが分かりました。そこで政府は2023年にはロコモティブシンドロームの国民への認知度を80%まで上昇させ、約10年の開きがある「平均寿命」と「健康寿命」との間隔を短縮することを目標としています。全脊椎撮影をすることで、背骨の変形や曲がり具合などを確認することができます。背骨の変形などにより腰に痛みが出ることや、バランスを保とうとして膝や股関節に負荷が掛かり変形や痛みが生じます。そのため、ロコモティブシンドロームの診断に背骨の状態を確認する全脊椎撮影が重要であると示唆されているのです。
ロコモティブシンドロームはできるだけ早い段階で発見し、適切なリハビリや治療をすることで進行を抑えることが可能です。われわれ放射線技師はみなさんのイメージしているレントゲン撮影のみだけではなく、政府が掲げている目標の一助となるようなレントゲン撮影もしています。
(ハコラク 2021年12月号掲載)
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