不妊治療の保険適用
菅内閣の公約の一つに少子化が進む現状に対し不妊治療を保険適用にするということがあります。不妊治療の多くは自費診療で多額の費用がかかります。現在行われているのは公的負担援助で、体外受精を行った42歳までの方に対し採卵、培養などの初回時に30万円を1回、移植時に7万5000円を6回まで支給するというシステムです。これには昨年までは、ご夫婦の所得制限があり、年間合計所得が730万円以下ということでした。菅政権になり今年1月から所得制限が撤廃され、収入の多寡に関わらずこの補助が受けられるようになりました。これは大きな一歩です。さらに来年度を目指し体外受精を保険適用にするべく準備が進められています。
体外受精には排卵を抑制する薬、刺激する薬、採卵時に行う麻酔薬のほか、採卵時に使用する針、培養液、顕微授精するシステム、受精した胚を経時的に観察するPrimo Vision(タイムラプスモニタリングシステム)という培養観察システム、移植時に使用する超音波断層装置などさまざまな特殊な設備の組み合わせで行います。これらのどこからどこまでを保険適用にするのか、それとも体外受精を1つの医療行為としてまとめて一括適用にするのか、まだまだ答えが出ていません。来年度3月を目指して、厚労省が鋭意努力をしておられることと思います。
各施設により現在の自費診療費用は異なります。一括としてまとめるには東京、大阪、福岡、北海道と大きな差があり、なかなかまとめるのが難しいものです。かといって一つひとつの薬剤を積算するにも限界があります。おそらく今年度中には素案ができあがり、来年度の早い機会に実施されると思います。いろいろな方の意見を聞き、公平になるように良い方向に決着が付けば良いと思います。やはり苦労してお子様を得られた方の子供を見る笑顔は何ものにも代えがたいものです。
(ハコラク 2021年9月号掲載)
略歴
昭和47年、岡山大学医学部卒業、同年ECFMG認定(認定番号1747732)、昭和50年より北大医学部癌研病理部門研究生を経て、昭和55年に医学博士学位を取得。国立高知医科大学産婦人科講師、函館五稜郭病院産婦人科科長などを経て、昭和62年産科婦人科秋山記念病院開設。平成8年には森町レディスクリニックを開設した。専門分野は産科学、悪性腫瘍。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。
秋山記念病院
函館市石川町41-9
☎0138-46-6660(代)
http://akiyama.hakodate.jp/
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