体外受精について
自然に妊娠するまでには4段階のステップがあり、① 排卵→② 受精→③ 胚発育→④ 着床という流れで進みます。体外受精とは、排卵の直前に卵子を体の外に取り出して、卵管の中での過程(②受精─胚発育)を体外で行う操作のことです。
一般不妊治療では妊娠しなかった方や、卵管の状態が良くない(卵管閉塞、卵管水腫など)、精子の数が少ない、人工授精で妊娠に至らなかったなどの理由で、不妊治療を受けているご夫婦の約半数が体外受精の対象となる可能性があります。
体外受精の流れは、ホルモン剤の内服または注射で卵を複数個(1~20個くらい、個人差があります)育て、卵が排卵に近い状態まで発育したら、細い針を卵巣に刺して卵を取り出します(採卵)。その後、精子と卵子を合わせて受精卵を作り(媒精)、受精した卵を育てて(培養)、凍結します(胚凍結)。生理が来たのちにホルモン剤で子宮内膜を調整して受精卵を子宮内に戻します(胚移植)。移植後7~14日頃に妊娠判定を行い妊娠成立の有無を確認します。妊娠が成立したあとは普通の妊婦さんと同じように検診を受けていただき出産となります。体外受精で生まれた赤ちゃんは自然妊娠した赤ちゃんと同じで、赤ちゃんに奇形などの大きな問題が増えるなどの事はありません。
2015年日本産婦人科学会のデータでは5万人の赤ちゃんが体外受精により出生しています。これは日本の総出生数の約5%に相当するため、約20人に1人は体外受精で生まれた赤ちゃんになります。
体外受精のメリットとしては、一般的な治療では妊娠の可能性がないご夫婦が妊娠する可能性がある、妊娠率が高い、妊娠するまでのスピードが速い、などがあり、デメリットとしては費用が掛かる、女性は注射などホルモン剤を使用するため大変である、などがあります。
(ハコラク 2019年5月号掲載)
略歴
平成10年、札幌医科大学医学部を卒業し、札幌医科大学産婦人科教室入局。道内関連病院での臨床を経て、札幌医科大学産婦人科学講座助教として臨床と研究に従事。平成20年からレディースクリニックぬまのはた院長、平成22年、浅田レディースクリニック副院長、神谷レディースクリニック副院長を歴任後、平成26年4月、さっぽろARTクリニックを開院。
さっぽろARTクリニック
札幌市北区北7条西4‐1‐2
KDX札幌ビル(旧北七条SIAビル)4F
☎011‐700‐5880 http://sapporoart.jp/
■診療科目/不妊治療専門
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