認知症と物忘れの違い
認知症と物忘れの違いとは何でしょうか。物忘れは、例えば昨日の食事で何を食べたかを思い出せない事はあっても、食べたことは覚えており、記憶をたどると思い出すことができます。認知症は食べたこと自体を忘れてしまったり、献立を教えられても思い出せなくなります。一般的な物忘れと違い日常生活にもさまざまな支障が及びます。
記憶の障害、今いる場所がわからないなどの見当識障害、歯磨きや着替えなど今までできていた行動がうまくできなくなる実行機能障害。これらの障害のため認知症の人は過去・現在・未来という連続性の中で、自分や物事を捉えることができなくなり、不安な感覚に陥ってしまいます。その不安が同じ質問を繰り返したり徘徊(はいかい)や暴言・暴力などの行動として現れるのです。ご家族が認知症と診断され、ともに生活をしている中で、寂しさや時には腹立たしい気持ちが湧いてくる人もいるでしょう。大切なのは一人で抱え込まず周囲に頼ることです。専門機関に相談し、必要であればグループホームなどへの入所も選択肢の一つです。グループホームは、住み慣れた地域で専門のスタッフに支援を受けながら、少人数で共同生活を行う施設です。
認知症になっても自分でできることはたくさんあります。少しのサポートで個々の能力を生かし家事を行うことで頭と体を使えば、認知症の進行を遅らせ身体機能の低下予防にもつながります。何より人に必要とされていることが認知症の方にとっては喜びであり、生きがいとなるのです。また、残っている力もたくさんあります。介助のし過ぎはその力を失わせてしまうことにもなります。できることを引き出し、できない部分の介助を行うこと、共に笑顔で生活をすること。これが私達の仕事です。生き生きとした表情で日常を送る入居者様の笑顔から私たちスタッフも元気や活力をいただき、働く原動力となっています。
(ハコラク 2020年1月号掲載)
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