「お客様に会えるのが何よりもうれしい」
持ち前の明るさで憧れの地に新たに根を下ろす
「函館の人は親切で、程良い距離感で接してくれる。長く函館に住んでいるかのような気持ちになる」と笑顔を見せる渋谷さんは、今年3月、宮城県石巻市で営業していた中華料理店「龍呑亭」を函館市本町に移転させた。
台湾人の祖父を持ち中華料理店の娘として生まれた渋谷さんは、小さい頃から料理に興味があり、20歳の時に両親の店で、夜から明け方までの営業を一人で任されるようになった。2003年に独立開業、11年に東日本大震災で被災し店は津波で流されたが、「お客さんに会いたい」との一心で震災から1年半後に営業を再開させた。「一緒に頑張ろう」と周りの声に励まされ営業を続けていたが、17年に惜しまれつつも石巻市での営業を終了。「憧れの北海道にいつか行きたいと思っていた」と移転先は、新幹線駅が近く、両親や友人に来てもらいやすいことから函館を選択し、夫の昌彦さんと一緒に移住した。
移住のきっかけはフランス料理の道に進んだ長男がこぼした、仕事への小さな弱音だった。「常にチャレンジしなさいと、息子たちにいつも言っていました」。気持ち1つで新しい事に挑戦できると自ら体現するため、持ち前の行動力とフットワークの軽さを生かし、翌日には北海道の地を踏んでいたという。道を極めてほしいと息子たちの背中を押すのと同時に、別の道へ進む決断をした時に「北海道へ来る道もあるよ」と選択肢を増やしてあげたい親心もあった。「オープン当初から店を盛り立ててくれる人たちに感謝しています。いつ来ても好きだなって思ってもらえる店にしたい」と、もてなしの心に満ちた空間づくりを心掛けている。
(ハコラク 2019年10月号掲載)
中華料理・ラーメン龍呑亭
函館市本町7‐8
☎0138‐87‐2740
11:30~15:00
17:00~21:00L.O
日曜、祝日定休
禁煙 契約P有り
クレジットカード利用可