己の“そば道”をひた走り 気負わず味を磨き続ける
3種類の打ちたてそば
七飯町にある手打ちそばの名店で11年間腕を磨いてきた尾形英俊さんが、今年4月に開店した「本格手打ちそば 尾道」。開業が新型コロナウイルスの発生している時期に重なり、「最初はもうダメなんじゃないかと思ったのですが、ご近所の方、リピーターさん、1日に2回食べてくれた友人もいて、びっくりするほどお客さんが来て下さった。皆さんに助けられて感謝です」と振り返る。
手打ちそばは、香りを守るため仕入れ直前に挽いてもらうという空知管内・北竜町産のそば粉を使った二八そば。1番粉と2番粉を配合し喉越し良く仕上げる基本の麺に加え、生地が透けるほど薄く伸ばして細打ちする真っ白な「更科」と、そばの色と香りを引き立たせた「挽ぐるみ」を毎日数量限定で用意している。朝6時には店に立ち、多い日は1日150食分、黙々とそばを打つ尾形さん。味の決め手となる水回しに始まり、全身を使って生地を練り、のばし、切っていく…流れるような動きには経験に裏打ちされた技の美しさを感じさせる。打ちたてを本ガツオの厚削りがふくよかに香る辛口のつゆですすれば、独特のコシの強さや手打ちならではのひと味違う喉越しに驚かされる。
「これまでは勤め人としてそばを打ってきましたが、これからは自分(尾形)の道を進んで行かなくてはと思い店名に〝尾道〟と付けました。独立を機にそば粉の種類や配合を一から考え、お客様にも試食をお願いして現在のそばを作りましたが、今打っているものが最終形ではありません。これからもどんどん味を磨いていきたい。日々努力と勉強、まだまだこれからです」。力強い言葉を気負わず朗らかに語る様子に、ただ「おいしさ」を追い求めるそば職人の自負があふれていた。
(ハコラク 2020年10月号掲載)
本格手打ちそば 尾道
函館市吉川町4‐24
☎0138‐76‐9017
11:00~15:00
16:30~19:30L.O
木曜定休 禁煙
P有り(7台)