良きライバルであり心強い存在
丁寧な手仕事と目利きに魅了される
梁川町の飲食ビルの1階でひっそりと暖簾をゆらす「鮨和処つかさ」。仕事帰りに立ち寄る人、大切な人との会食、締めに訪れる酔客と、午前2時半まで営業しているため、時間帯によってさまざまな使い方ができる。大将の長浜司さんらが見事な職人技を見せ、客の前にすっと静かに置かれる寿司は、ネタと一体になったシャリが口の中でほろりとほどける絶妙な握り具合。鮮度にこだわった近海産の魚介を中心に、一手間加えた旬のネタも評判で、地元の人から観光客まで幅広く愛されている。
2013年に函館に戻ってきた久保さんは、同じ年に長浜さんが独立したことを知りすぐに来店。それからは、仕事が終わった後に軽くつまみに来たり、魚来亭の常連客を連れて来たりと、すっかりなじみの一軒に。騒がしさはなく、ゆっくり過ごせるため、安心して紹介できる店としても重宝している。
「基本はカウンター席」と言い、会話はもちろん、手仕事がよく見えるのも久保さんにとっては特等席。魚の下処理、仕込みと勉強になることも多く、マグロは常温に、青魚は冷たく…香り、旨みの広がり方が変わってくる魚の温度感など、目に見えない細やかな作業も同じ料理人だからこそ気付く。
「ここに来たら外せない」と必ず注文するのがマグロの赤身。表面に切れ目が入っているためかむ回数が少なくなり、マグロの味がすぐに口に広がるという。一品料理の豊富さにも目を見張り「いろいろな素材を使い多彩な料理が出せるのは料理人の総合力があってこそ」といつも感心させられる。同じ世界と時代を生きてきた同志でもあり頼れる存在。ここでの刺激や感動が仕事への活力になっている。
(ハコラク 2025年4月号掲載)
鮨和処 つかさ
函館市梁川町19‐10 第5セイコービル1F
☎0138‐32‐0160
18:00~翌2:30
日曜定休
禁煙
クレジットカード利用可