イカの街・函館から全国へ伝統の味を届け続ける
真イカが主役の商品をグループで一貫生産
「有限会社マルナマ食品」は主に国産真イカを使用した刺身や塩辛などを製造・販売している水産加工会社。道南をはじめ、札幌や東京などで、世界各地から選び抜いた魚介類の冷凍・冷蔵保存や商品開発、卸売業を手掛ける「マルナマグループ」に所属する。同グループは1939年に鮮魚問屋として創業した「株式会社マルナマ古清商店」が母体。水産加工、漁業を担当する複数の関係会社と連携し、近年では「函館サーモン」の養殖事業にも取り組むなど、海の恵みを多角的に生かした事業を推進している。複数の生産ラインを有し、グループの中核を担うマルナマ食品は、人の手だからこそ生み出せる食感や味を重視する。同社取締役・経営企画室の古伏脇隆太室長が全国各地に足を運び買い付け、品質と鮮度を保ったまま冷凍するイカを主原料に、下処理から製品化、包装、流通に至るまでグループ内で一貫して行い、高品質を維持。2003年第44回全国推奨観光土産品審査会で農林水産大臣賞(食品の部)を受賞した、釣り上げたばかりのイカを船上で特製コンブしょう油に漬け込む「活いか沖漬」や、新鮮だからこそのコリコリとした歯応えが際立つ「いかそうめん」など、真イカの魅力を最大限に引き出した商品を展開している。
伝統の味を守り郷土食文化を発信
マルナマ食品の「いかめし」は、道南の土産店やコンビニをはじめ、全国の大手スーパーや九州の物産展でも販売されている看板商品。時代に合わせてイカや米の産地を変更しても、創業以来の味を守り、道南の郷土食を全国へ届けている。現在使用しているご飯は、食味の良い函館産ふっくりんこに道産のもち米をブレンド。あらかじめ味付けをし、やや硬めに炊き上げる。旨みを左右するイカは、やや小ぶりの真イカを中心に使い、壺抜きし骨を取り除いた後、洗浄。袋状のイカにご飯を手作業で詰め口を閉じる。しょう油ベースの秘伝のタレで満たした大釜に、1度に1000個ずつ投入。イカの水揚げ時期や個体差、米の収穫時期に応じて、ボイル時間、タレの配合比率を調整し、常に〝イカと会話〟しながら、味にブレが出ないよう仕上げ、1日に約1万個を生産。パッケージングした後、レトルト殺菌を行い、一晩以上置いてから最終チェックを経て箱詰めする。家庭での加熱調理時間も考慮し、最適な食感と味付けになるよう製造時の加熱時間を調整。常温保存が可能な点から、災害時の非常食としても注目を集めている。また、函館駅前の商業施設ハコビバ内に構える直営店「函館まるなま水産」では、いかめしの実演販売も行っており、パッケージング商品とは特徴が異なる、作りたてならではの風味や食感を提供。古伏脇室長は「より多くの方に手にとってもらえる商品づくりを心掛け、日本一のいかめし屋を目指していきたい」と意気込みを見せる。
有限会社 マルナマ食品
函館市日乃出町12‐10
☎0138‐55‐0070
ハコラク2025年6月号掲載