成長期のスポーツと腰痛 腰椎分離症
ラグビーW杯の感動は記憶にまだ新しいですが、現代は、いろいろなスポーツをさまざまな年代の方がそれぞれのレベルで楽しまれています。スポーツが原因となる腰痛も多く、成長期の腰痛にもスポーツと関わる注意すべき疾患が多々あります。その一つが腰椎分離症です。
腰椎分離症は腰椎の後方を形成する椎弓の一部である関節突起間部に亀裂が入った状態です。スポーツなどで腰をねじったりそらしたりを繰り返すことで起こす疲労骨折が原因ですが、一部には先天的、遺伝的なものがあります。日本人の5~8%、スポーツ選手の30~50%に分離症があります。スポーツをする子供で繰り返し続く腰痛があれば、整形外科を受診すべきです。診断は、腰部に圧痛、後屈時に痛みがある時に疑い、X線、CT検査、特に早期診断にはMRIが有用です。検査で分離症の診断と共に、分離部にまだ骨癒合の可能性があるか否かの判断も行います。できるだけ初期の段階で診断し治療をすることが治癒率を高めてくれます。基本的に治療はスポーツの休止、コルセットによる体幹部固定を3~6カ月行います。CTやMRIで骨癒合が確認できればスポーツを再開します。既に分離症が完成して骨癒合が望めない場合は薬物や理学療法を行い、痛みを取り除くことを目的にします。腰椎分離症は成人になっても腰痛や腰椎分離すべり症になって下肢神経症状の原因になることがあります。また、予防には大腿二頭筋のストレッチ(ジャックナイフ体操)や腹筋、背筋の強化、柔軟性が重要です。
スポーツが関係する腰痛の多くは、成長期の身体的特異性、使い過ぎ、正しいスポーツ動作などが関与し、スポーツ指導者や家族の理解、役割も大変重要です。腰痛を取り除き予防することで子供さんのスポーツ活動の継続、向上を助けることが大切です。
(ハコラク 2020年1月号掲載)
略歴
佐賀医科大学卒業後、久留米大学整形外科教室に入局し同院麻酔科、門司労災病院整形外科、聖マリア病院整形外科、福岡県立柳川病院整形外科、亀田病院整形外科などの勤務を経て、平成9年9月、こが整形外科クリニック開院。日本整形外科学会整形外科専門医。
こが整形外科クリニック
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