食べておいしいスーパーフード
南茅部産昆布を全国へ発信
真昆布の味にほれ込み女性向けの商品を開発
国内昆布生産量15%を占める一大産地・函館市南茅部地区。高品質な真昆布のほか、フコイダンやアルギン酸の含有率が高いガゴメ昆布、タンパク質やビタミンA、カリウムなどが豊富な海藻ダルスも水揚げされている。 函館市尾札部町にある「能戸フーズ株式会社」は真昆布の味の深さに魅せられた能戸圭恵代表が2013年に創業した、昆布加工・直売・卸販売会社。前浜で揚がる水産物を原材料に美容意識の高い女性をターゲットに置いた商品開発を手掛けている。会社立ち上げのきっかけは義父が経営していた水産加工会社が、水産物の水揚げ量減少や燃料費高騰のあおりを受け立ち行かなくなったこと。「義父はいち早くガゴメ昆布の効能に着目し、ガゴメ昆布入りの商品を企画・販売していました。ここでしか作れない商品をなくしたくない」と一念発起。販売権を譲受して新会社を設立し、中小企業基盤整備機構が設置した「よろず支援拠点」や商工会議所などの支援を受け事業を進めてきた。現在はスープや入浴剤などの開発、ダシ・食用・菓子類の昆布加工を手掛け、23年には自主衛生管理認証制度「北海道HACCP」を取得した。
罪悪感なく食べられる栄養価の高い菓子が誕生
真昆布とガゴメ昆布を主役にナッツや道産野菜、フルーツをミックスした砂糖、塩、油不使用の無添加おやつ「旅する昆布シリーズ」は、食卓の脇役というこれまでの昆布製品のイメージをガラリと変えた。自社商品の開拓ともっと気軽に食べてほしいとの思いから、地元で漁業に関わってきた女性スタッフたちと意見を交わして知恵を絞り、昆布の栄養価の高さに着目してスーパーフードに位置付け、商品開発に着手。極細に刻んだ真昆布とガゴメ昆布にダルスやフノリ、厳選した素焼きのナッツ類を合わせた「NutsKo」が18年に誕生すると、おやつ感覚でつまめる手軽さと味の良さが受けて口コミで評判が広がり、自社のネット通販サイト「昆布村」やテレビショッピングなどを通してリピーターが増加した。これを皮切りに、乾燥リンゴと甘い南国ドライフルーツを加えた「RinKo」、玄米パフ、エビ、小魚が入る「KomeKo」、大豆のたまふくらやアスパラなど道産野菜の軽い歯触りが楽しい「MameKo」を、次々と打ち出しシリーズ商品として展開。いずれも食感や味のバランスにこだわり、配合を細かく調整。素材の状態をチェックして、不純物が入らないよう細心の注意を重ねて、1種類ずつグラム数を計り手作業で袋詰め。ツートンカラーのおしゃれなパッケージは原材料が一目で分かるように工夫されている。商品は工場併設直売所のほか丸井今井函館店、市内の土産店やホテル売店などで購入可能。能戸代表は「創業から10年、会社のため信頼を積み重ねてきた。次の10年は次世代にどうつなげていくか、じっくり戦略を練っていきたい」と、先を見据えた挑戦を続けている。
能戸フーズ株式会社
函館市尾札部町784
☎0138‐63‐3211 [直売所]
9:00~15:00
土・日曜、祝日定休
P有り
ハコラク2024年5月号掲載