美味しさの秘訣は“心” 客への想いを日々菓子に込めて
看板の上には真っ赤な鳥居、店先には大きな力石。函館駅前の電車道路沿いに1世紀以上建ち続ける「辨慶力餅 三晃堂」は一際目を引く佇まい。明治40年に菓子店「野路三晃堂」として創業。現在の店名は弁慶の生きざまにほれ込んだ3代目社長が名付け親で、京都の五条大橋の欄干を模した意匠や建物の裏に大きく描かれた弁慶の絵など思い入れが溢れている。4代目を務める野路邦英さんは社長になって36年、毎朝6時から仕込みを始め、1日も休まず菓子作りに励んできた。店内には「くるみ餅」「大福」と長年変わらぬ菓子がずらりと並び、今年の連休中には一人で「べこ餅」を50個購入した客もいるなど高い人気を誇る。原材料にこだわり伝統的な製法で丁寧に手作りされる菓子たち。「懸命にやれば技術は身に付く。美味しくなるかどうかは心の問題」と野路さん。シンプルで素朴な菓子一つひとつの中に、客の喜ぶ顔を想う職人の心が詰まっている。
(ハコラク 2018年7月号掲載)
辨慶力餅 三晃堂
函館市松風町4‐11
☎0138‐23‐1709
9:00~15:00
木曜定休 P有り