心の語り部として郷土芸能の原点へと立ち返り
自然や偉人たちの思いを言葉と太鼓で表現
「故郷の記憶、自然が奏でる音、人の思い、目に見えないさまざまなものへ畏敬の念を込め、一音ずつ大切に打ちたい」。1980年に有志で立ち上げた七飯男爵太鼓創作会の第四代会長を務める高橋さんが和太鼓と出合ったのは小学4年の頃。母親に連れられ入会し参加するうちに「おとなしい性格の自分でも表現出来ることがある」と活動に打ち込むように。東北の大学へ進学したのを機に同会を離れ、尊敬している邦洋楽作曲家で作家の佐藤三昭さんに弟子入り。佐藤さんが所長を務める和太鼓総合研究所の道場へ通ううちに「和太鼓は祈りや命を尊ぶための楽器だと気付き、これまでの考え方が根底から覆った」と言う。2011年に帰郷し、母体だった会活動に復帰した。現在のメンバーは七飯町、函館市、北斗市の幼稚園児から60代までの15人ほど。創設当時からの曲に加え、川田龍吉男爵や石川啄木といった道南を愛した先人たちの心にスポットを当てた「和太鼓朗読劇」を3年ほど前からスタートした。奏者のほか脚本と演出も手掛ける高橋さんは「郷土芸能は次世代へとつないでいくことが使命。技術の優劣よりも音に込めた表現を大切にしていきたい」と未来へ思いをはせている。
(ハコラク 2021年4月号掲載)
七飯男爵太鼓創作会事務局
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