周囲の優しさに支えられながら本場・大阪の味を届け続ける
2017年9月にオープンした「大阪鉄板焼 しんたろう」は、大阪から移住してきた羽澤さんが切り盛り。当初は羽澤さんがフロアを担当し、母の則子さんが鉄板を預かり、姉の愛さんが厨房で調理と、一家3人それぞれが役割分担をしていたが、大阪に残してきた家族の環境が変化。昨年10月、大阪へ戻ることになった則子さんと愛さんから店を任された。前職は会社員、開業時はフロア係と、飲食店での調理経験がなかった羽澤さんは、則子さんが帰る前に調理をみっちりと仕込まれて技術を身に付け、現在では1人で何役をもこなしている。
一家で移住を検討したのは、「一度、都会を離れてみたい」との思いから。「博多か四国か函館か、場所の候補は3つくらいあった」。互いに意見を出し合うもなかなか決まらず「最終的にはじゃんけんで決めようか、という話にもなっていた。函館は母の希望でしたね」と楽しそうに当時を振り返る。
札幌の高校に通っていたこともあり、北海道になじみはあったものの、周りに知人が少ない心細さ、新しい事に踏み出す時に感じる小さな不安もあった。しかし、客はもちろん、仕入れ先の青果店や近くの飲食店の店主との新しい出会いや激励に支えられてきた。「さりげなく優しいところが、函館の人と大阪の人は似ている気がします。ここに来て本当に良かった」。函館に1人残ることが決まると気遣いはより厚くなったと感じている。今後は本場・大阪のお好み焼きが食べられて、地元の人が気軽に集まれる場所を目指して、少しずつ居酒屋メニューへのチェンジを図り、「求められる限りは続けたい」と託された店を守っていく意思を固めている。
(ハコラク 2019年10月号掲載)
大阪鉄板焼 しんたろう
函館市本町4‐11 第8名美ビル1F
☎0138‐76‐9414
18:00~24:00(23:00L.O)
月曜定休 喫煙可
クレジットカード利用可