丁寧な仕事とデータの積み重ねが生み出す
深煎りならではの味と余韻に浸る
「正直に言うと学生の頃はコーヒーがあまり好きではなかった」という種田知美店主は、社会人になってから函館市宮前町の「横山珈琲店」で深煎りコーヒーに出合い、その味わい深さに魅せられた。コーヒーへの興味を深めていくのと同時に、同店の営業スタイルにあこがれ開業を決意。焙煎技術や経営ノウハウを学び、2011年、JR七飯駅前に「ななえ駅前珈琲店」をオープン。2018年に当初の店から少し離れた現在の場所に新築移転し、昨年から本格コーヒーのテイクアウトもスタートした。
使う豆は中南米産でまとめ、仕入れた生豆の中から割れたもの、未熟なものなどをピンセットで丹念に弾いて、手回しのサンプルロースターで毎朝深く焙煎。焙煎したての豆を外に運んで自然の風に当てて冷やし、数日寝かせて味を落ち着かせる。狙った焼き上がりになったか銘柄ごとに細かくチェックしてノートにまとめデータを蓄積。〝いつものコーヒー〟をぶれずに提供するのを目標に、季節や湿度に合わせてコーヒー豆の配合や挽き方を調整して味を固定する。「深煎ブレンド」「中煎ブレンド」のどちらも、クリアな苦味とほんのりとした甘味が溶け合い、後味はどっしりと力強い。丁寧な仕事が凝縮された一杯は訪れる人たちの憩いの時間を豊かにする。
(ハコラク 2021年2月号掲載)
ななえ駅前珈琲店
七飯町本町3‐18‐32
☎0138‐87‐0951
9:30~16:30
(16:00L.O)
月曜定休
喫煙可
P有り