母と通うとっておきの店はいつ来ても幸せな気持ちにさせてくれる
繁華街の一角に立つ「酒房 樂」は、橘希代美ママと娘の実里さんが家庭的にもてなす明るい小料理屋風の店。全幅の信頼を寄せる鮮魚店「◯み 佐藤商店」が選りすぐった地場産の旬の魚介、函館では珍しい魚を使った刺身や焼き魚、煮付けといった魚料理がメイン。「本日のおすすめ」では厳選素材にアレンジを加えた一品メニューを振る舞い、カウンターに並ぶ地場野菜を使ったリクエストにも柔軟に対応する。
高橋さんと橘ママとの付き合いが始まったのは数年前、現在は閉店している姉妹店「居酒屋たちばな」へ母の令子さんに連れられてきたのがきっかけ。その当時まだ学生だった高橋さんは、手間を惜しまず丁寧に作られる料理に感動。友人たちに来店時のことを話すと羨望を集め、子供ながらに〝大人の世界〟に触れられた喜びを感じたと懐かしむ。「たちばな」から「樂」に移ってからも、さっぱりとして優しい性格の橘ママ、穏やかに接してくれる娘の実里さんとの縁は続き、「もともと好きだった海鮮料理が、ママの料理を食べてからもっと好きになった。来るたびに幸せな気持ちになれる」と笑顔を見せる。
起業してからは仕事や子育てに全力で取り組んでおり、なかなか外食の機会に恵まれないが「職場の忘新年会は樂で」と決めている。「おまかせにしてもどんな料理が登場するのか、期待に胸が膨らみます。なんでもおいしいので誰にすすめても喜ばれる、とっておきのお店」と心尽くしの料理の数々をビールや焼酎と一緒に味わい、職場のスタッフと語り合う。お気に入りの一品は岩ノリたっぷりの「おにぎり」で、店へ直接行けない時でも母に土産として持って帰ってきてもらうほど。高橋さんは「いつか母と私と娘との3代で店に来られる日を楽しみにしています」と声を弾ませ、将来へ思いをはせている。
(ハコラク 2020年3月号掲載)
酒房 樂
函館市本町32‐8
☎0138‐85‐6419
17:30~翌1:00
不定休 喫煙可
キャッシュレス決済利用可