専門店として地域に寄り添い まだ見ぬお茶の世界を案内する
路地裏にひっそりと佇むコンクリート造りの蔵は、1937年から〝函館育ちのお茶屋さん〟として歩む「丸山園茶舗」の倉庫。5年前から店舗としても開放しており、商品が所狭しと並ぶ一角を通り抜けると、ふんわりと茶葉の香り漂う空間が広がる。ベルトコンベアが鎮座する横にはテーブルが並べられ、天井高くひんやりとした蔵ならではの空気を感じながらカフェタイムも楽しめる。
茶の世界は、味はもちろんそれを支える職人、道具、歴史、加工技術と多方面に文化的な広がりがあり、井ヶ田嗣治社長は「この世界を知るきっかけを作り、茶の本質を伝えるのが専門店の仕事」と、急須職人の講演会なども企画している。その一端に触れられるのがお点前を体験できる「気軽に抹茶セット」。抹茶のダマをこす作業からはじめ、茶せんの感触を確かめながら自ら点てた一服を、美しい和三盆とともに味わう。初めての人にも魅力が伝わるよう考え抜かれた工程は、味・知識・体感を通してさらなる興味を刺激する。手軽な茶の楽しみ方から本格的な茶道まで、何に興味を持つかは自分次第。今年2月、大門地区にあった店舗と統合し、より客の要望に寄り添える多目的空間として発展を目指す店は、奥深い茶の世界へ案内してくれる。
(ハコラク 2019年7月号掲載)
丸山園茶舗
お茶の多目的空間 御茶ノ倉
函館市末広町2‐2
☎0138‐23‐3785
10:00~18:00
不定休
禁煙 P有り