気心の知れた人と魚すき鍋に向かい地域の恵みを堪能
「お台所ときん」は、日本料理を骨格とする地場の魚や黒毛和牛のすき鍋店。山桜や栗の木の大きな敷板が並ぶ1階の入れ込み座敷は、かつて函館にもあった昔ながらの造りで、七輪に乗せるひとり鍋を基本に季節の一品も用意。予約制の2階の個室では、前菜やつまみ、鍋が味わえる会席料理を提供。丸山哲巨店主とお燗番の佐々木芳子さんが、道南の人たちが自然の中で育む食材で腕を振るう。
今村さんは「函館は街の魅力がコンパクトに集まり、家から歩ける距離にもおいしいグルメがたくさんある」と、飲食店を開拓しようとふらりとこの店に入り、「こういう雰囲気あるしつらえの店は敷居が高い印象でしたが想像より手頃で、くつろげた」と出合いを振り返る。名物の魚すきは、炭火で白焼きした南茅部地区産の天然アナゴを、ゴボウや油揚げの入った割り下で自分好みに煮込みながら食すことができ、「ふんわりとしたアナゴの香ばしさと、すき焼きのイメージを変える優しい味の割り下がすごく合っていて、こんな鍋があるなんて知らなかった」と感嘆。食感と味が引き立つよう厚切りする近海産の刺身とつまめば自然と杯が進んでいく。締めにアナゴと野菜のダシが詰まった鍋に卵を落として雑炊も楽しめる。函館に着任以来、新たな仕事への期待に胸を膨らませ、この地で出会った友人や財界とのつながりから地域の活性化に努めてきた今村さん。美食をじっくり味わい作り手に思いをはせ、飾らずゆっくり語り合える一軒だ。
(ハコラク 2024年11月号掲載)
お台所 ときん
函館市本町1‐25
☎0138‐32‐0073
11:30~14:00
17:00~22:00
日曜定休 禁煙(2F電子タバコのみ喫煙可)
P有り
クレジットカード利用可