地産地消で築いたそばで老舗旅館ににぎわいを
「手打ちそば久蔵」は、1933年から続く「二本柳旅館」内で、昼時だけ営業する人気店。4代目当主・二本柳芳樹さんは「旅館に昔のようなにぎわいを取り戻したい」と、元々好きだったそばに着目し、宿泊客のために日々板前として腕を振るいながら函館市の手打ちそば店「がびの」に1年間通って修業。ガラス張りの工房を構え、2011年からそばの提供を始めた。
開業時、既に板前の経験が30年あった二本柳さん。「そばは打つほどに奥が深く、これでいいということがない」と、毎朝5時から工房に立ち、味の研さんを重ねてきた。この日使ったそば粉は今金町産の「きたわせ」。七飯町で調達する湧き水で水回しし、1.5㎜の厚さに均一にのして細打ちする二八そばは、コシがあり甘みが濃厚で、地域特産の白口浜真昆布や厚削りのカツオ節、干しシイタケからダシを取る香り高いつゆとのバランスも絶妙。特大のアナゴを一本使う天ぷらは、表面カリッと中ふんわりとした仕上がりに板前の技が光る。地元食材から生み出すそばが、老舗旅館に新たな風を吹かせている。
(ハコラク 2024年10月号掲載)
手打ちそば 久蔵
函館市豊崎町64 二本柳旅館内
☎0138‐25‐3001
11:30~14:30(14:00L.O)
木・金曜定休
禁煙 P有り
キャッシュレス決済利用可