景色もごちそうに
農家の利点を生かした滋味あふれる郷土料理
昨年4月にオープンした「むすび」は、厚沢部町富栄の女性農業者らで構成する地域活性化団体「富栄KOKIA(コキア)」が空き家を改修し始めた飲食店。店内は壁紙の白に、古い柱や階段の風合いが映えるモダンな雰囲気で、大きな窓を額縁にして広がる田園風景は一枚の絵画のよう。店を切り盛りするのは、富栄コキア代表で米農家「庄山農園」を営む庄山江利子さんの娘の庄山絢店主。農家の利点と店を起点につながる人脈を生かし「親が子供に食べさせても安心と思ってもらえるよう、また、食育にもつながるよう、化学調味料、添加物をなるべく使わない料理にしています」と、米、野菜、ダシ用コンブなど桧山産の食材をたっぷり使い、郷土料理を中心に提供している。
看板メニューの「おむすび」の米は、ふっくら炊き上がるよう「ふっくりんこ」をベースに季節によってブレンド。釜底の米粒が重さでつぶれないように、一度に炊き上げる米の量を極力少なく設定しているという。注文が入るごとに手で握り、具材は、鮭、梅干しといった定番から、卵黄しょう油漬け、ナス味噌をはじめとした変わり種、旬の食材までを用意。塩は八雲町熊石地区産海洋深層水の釜炊き一番塩と、吟味した食材一つひとつが味を主張しつつ調和する。米粉で揚げるジューシーな唐揚げ、濃厚な米粉のバスクチーズケーキなどグルテンフリーのメニューも充実。時間の経過とともに表情を変える景色を眺めつつ食事を堪能すれば、ほっと肩の力が抜けていく。
(ハコラク 2024年5月号掲載)
米農家のおむすびと田舎料理 むすび
厚沢部町富栄231‐1
☎080‐9030‐2023
11:00~ 無くなり次第終了
土・日曜、祝日のみ営業
禁煙 P有り
キャッシュレス決済利用可