受け継ぐ店を大切に守り、次世代に味を伝える
湯川町で来年100周年を迎えるそば処「やたら家」。三代目の岩崎康彦さんはかつてインテリアデザイナーだったが、先代を務めていた母親から懇願され、店を守るため帰郷。幼い頃から店を手伝い身に付けていた経験を頼りに、祖母・きよさんが作り上げた味を守り抜いてきた。そばとうどんのみから始まり時代とともにラーメンやご飯ものなど豊富なメニューを揃えるようになったが、全く変わらないのがそば処の命とも言えるつゆ。アクが残らないように時間をかけて下処理するカツオの荒節を店内で厚削りにし、代々伝わる方法でダシをとる。自家製麺するコシのあるそばとすすれば、その優しい味わいに思わず頬がゆるむ。「細かいことが味の秘訣になる」と丁寧な下ごしらえを大切にし、一つひとつ〝おいしさ〟を積み重ねてきた。康彦さんの孫が店を継ぎたいと話しているそうで、「そば作りを伝えるまで頑張らなきゃ」と快活に笑う。三世代並んで店に立つ日が楽しみだ。
(ハコラク 2018年11月号掲載)
そば処やたら家本店
函館市湯川町1‐28‐1 ☎0138‐57‐5760
11:00~19:30L.O 木曜定休 P有り