経済産業省は今年の「DXセレクション2025」を発表し、函館市のオフィス用品販売業の「近藤商会」(西桔梗町、相川良夫社長)を準グランプリに選んだ。同セレクションは22年から始まったが、準グランプリの受賞は道内企業としては初めてで最高位の受賞。デジタル施策を活用して、オフィス用品の販売スタイルを訪問から通販へとビジネスモデルを転換したことが評価された。
DXは、デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を用いて、ビジネスモデルやサービスを変革する取り組みのこと。
経産省は、企業のDXに関する自主的取り組みを促すため、20年にデジタルガバナンス・コードを策定。DXセレクションは、同コードに沿ってDXで成果を出している中堅・中小企業のモデルとなる優良事例を表彰するもので、22年から実施している。
25年はグランプリ1社、準グランプリ3社、優良事例11社を全国の企業から選定した。グランプリは山形県米沢市の建設業「後藤組」が受賞。道内では優良事例に網走市の廃棄物処分業「道環」が選ばれた。
準グランプリの近藤商会の評価理由は、テレワークやペーパーレス化、Webマーケティングなどを活用して、オフィス用品販売を訪問から通販へと転換させたこと。
電話、メール、オンライン営業システム等を用いることで、顧客を全国に展開し、07と24年を比較して、受注・配送要員を8割減らし、16年と24年の比較で売り上げの7割増を実現した。
同社について、経産省北海道経済産業局は「オフィスが非常に先進的で、DXに対する社員のモチベーションが高い」と評価する。
同社の竹谷淳一副社長(49)は「全国で少子高齢化が進み、労働人口が減少。地域経済の衰退が顕著になった。今のままではだめだという危機感からDXを進めてきた」と話す。
同社ではテレワークとペパーレスに特に力を入れたという。「マーケットを地元だけでなく、全国に広げることができたのが大きかった」と竹谷副社長。
北海道経産局によると、経産省による「DX認定」は、道内では24年度に15社が認定され、累計で31社となった。同局では「着実に道内のDXの取り組みが進み始めている」と評価している。(加納洋人)