歯周病予防は歯科衛生士と二人三脚で
歯を失う原因の2大疾患は、歯周病とむし歯です。平成28年度の歯科疾患実態調査(5年毎)によると、30~60代にかけて歯周病の有病率が高く、30代以上では3人に2人が歯周病であり、年代が上がるに従って症状も進行しています。一方でむし歯は、令和2年度の学校保健統計では、12歳児の永久歯の1人あたり平均むし歯本数は、わずか0.68本になっています。調査開始以来36年間減少し続けているのです。この要因にはフッ化物配合歯磨剤の普及が大きいのですが、生活習慣の改善など保護者の予防意識の向上と行動の変化が挙げられます。
歯周病は初期段階ではほとんど自覚症状が無いため放置されやすく、治療が遅れがちな慢性疾患ですが、初期でも歯肉が炎症で赤くなることから自分で発見することは可能です。しかし、原因であるプラークは歯ブラシで丁寧に磨いたとしても、セルフケアでの除去率は60%と言われています。残り40%はプロフェッショナルケア、つまり歯科医師、歯科衛生士でなければ除去することはできません。
症状が出てから治療のために歯科を受診するのではなく、予防のために年2~3回のメンテナンスを受けることは歯周病予防を含め口腔の健康維持増進のために大変重要です。
予防歯科先進国のスウェーデンでは、メンテナンス受診率は90%ですが、日本はわずかに10%前後。歯周病予防の意識は、むし歯予防に比べまだまだ低いということでしょう。
歯科衛生士教育では、症状に合わせた歯科衛生計画と実施・評価やメンテナンスなど、歯周病患者さんの継続管理について長時間をかけて学んでおります。超高齢社会において、最期まで自分の歯でおいしく食べられる『健口寿命』を支える職業として求人も多く、歯科医院のほか病院や施設など活躍の場も広がっています。
皆さんも口腔の健康管理を歯科衛生士とともに始めましょう。
(ハコラク 2022年 4月号掲載)
函館歯科衛生士専門学校
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