自宅での看取り末期がんの場合
現在の日本において、末期がんの方が「死ぬ場所」として「自宅」を選択するケースが増えています。理由はさまざまありますが、国の制度などもそれを後押しする姿勢が続いています。しかし「自宅での看取り」に大きな不安を抱く方が多いのが現状です。今回はこの「末期がんにおける自宅での看取り」について触れます。
昨今、日本においては、医療技術の向上などにより末期がん患者における身体的な痛みを麻薬などによって良好にコントロール可能となっていることや、介護保険制度などの支援システムが充実していることが「自宅で看取る」ことのハードルを下げています。また、末期がんの特徴として、「亡くなる直前まで、比較的元気である」という事実も、本人や家族などが担う「身体的、心理的負担」を軽減する意味で影響しています。
「自宅で看取る」多くの場合は、病院を退院して自宅に戻られますが、その際、事前に入念な準備、検討を要します。自宅に戻った後、「訪問による医療支援を担当する医師や看護師は誰か」「介護用ベッドの導入など自宅内環境の整備は十分か。また、病状の進行によって適宜対応できる準備は十分か」「急な病状変化の際の対応はどうするのか。その対応システムはあるのか」「本人はもちろん、家族など支援者に過度な負担は発生しないか」などの内容がそれにあたります。この時、本人や家族の意思決定を支援する役割の〝相談に乗ってくれる〟中心人物が病院相談員と介護保険ケアマネジャーになりますが、退院後にはケアマネジャーが中心となりますので、担当のケアマネジャーに不安がある場合は担当者を交替してもらうことも考慮に入れたほうが良いでしょう。「亡くなるその時まで、どう生きたいか」という本人の想いを周囲が適切に理解することが「悔いを残さない看取り」には不可欠であると考えます。
(ハコラク 2022年 3月号掲載)
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