〝「日常生活にアートを」
心を豊かにする器づくりにまい進〟
「できないと思うと突き詰めたくなる、陶芸は奥深い世界」。セラミックアーティストの棟方由美子さんが陶芸に興味を持ったのは、10代の頃に習っていた茶道がきっかけ。茶会の作法の一つ「茶わんの拝見」で裏側の高台に興味をそそられ、自然と器に目が向くようになったという。実際に土に触れたのは秋田県大館の工房「つちくら」でのこと。「秋田にいた2年間、ただただ楽しかった」と陶芸に夢中になり、大阪転居を機に知識を深めようと大阪芸術大学工芸学科に再入学。第一線で活躍する陶芸作家や人間国宝の弟子から教えを受け、自分の作品を社会につなげるアートマネジメントも学び、創作活動の芯に据えている。
現在は、ギャラリー用と、委託先の要望やイベントに合わせ作陶。常に頭の中にある構想をもとに、自宅工房で土を練り、石こう型と電動ろくろで形を整える。色付けは基礎釉に金属粉や絵の具を加えた自家製釉薬を使用。800℃で素焼きした器を釉薬にくぐらせ、1250℃で酸化焼成すると、釉薬がガラス質に変化し、艶やかな質感と鮮やかな色合いを生みだす。作品は、マグカップや皿、小鉢といった日常生活に華やかな色を添える食器が中心。
使い心地の良さの中に遊び心ある作風で、七飯に工房を構えてからも自由な発想で作品づくりを楽しむ。「使う人の心に響く器が焼けているか、窯を開ける瞬間はいつもドキドキする」と棟方さん。その小さな高揚感が日々の創作を支えている。
(ハコラク 2025年6月号掲載)
Atelier Y 321
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☎なし
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(上記以外の日は応相談でオープンする場合もあり)
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