〝子供のように手塩にかける
北海道育ちのまるい竹籠〟
持ち手に体重を掛けても壊れない丈夫で艶やかな芋掘り籠。木元良樹さんが竹細工職人になったのは、この一つの竹籠に魅せられたのが始まりだった。わずかな情報を頼りに製作者である福島町の竹細工職人・要田東さんを訪ね、弟子入りしたのは4年前。会社員として働きながら毎週、要田さんのもとに通って修業し、現在パートナーの高橋絵里子さんと2人で「良籠」の屋号を掲げ、竹籠をつくっている。
木元さんが目指すのは、北海道の根曲がり竹を使い、底にふくらみを持たせた丸い形の竹籠。製作は材料の竹ひご作りから始まり、金たわしで水洗いした竹を必要な長さに切り、鉈で4等分に竹を割って、荒剥ぎで身竹と皮に分けたら、用途ごとに1本ずつ幅と厚みを削り揃える。この竹ひごを底編み、立ち上げ、縁付けと籠に編み上げていき、毎日4~5時間作業しても完成するのは週に1つほど。膨大な手間が掛かるが、扱いが難しい根曲がり竹の性質を考え組み合わせる作業は、「子供を育てているような感覚で時間をかけるほど愛おしくなる。技を追及するのが楽しくてもっと時間がほしい」と笑う。
道内の竹細工職人の数は少ないが、道南には古くからイワシやイカ漁の漁具に竹細工が使われた歴史があり、北海道で培われた竹籠の存在を広めようと昨年、全国から伝統工芸品が集まる日本民藝館展に竹籠を出品、入選を果たした。「まだ納得のいく作品がつくれたことはないですが、もっと皆さんに知ってもらえるよう良い籠をつくりたい」と、寸暇を惜しんで竹細工に向き合っている。
(ハコラク 2025年6月号掲載)
良籠
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