「生まれ変わってもこの仕事がしたい」 〝当たり前〟を磨き新しい形の理美容室に
―昨年12月にオープンした理美容室「ジジ」。性別を問わず、子供から年配の人まで家族で通える新しい形のサロンを目指し、妻の恵子さんと共に二人三脚で店を営む箱田さんがこの仕事を志したきっかけは。
長年この場所で床屋をしていた祖父の言葉がきっかけでした。高校2年生の時に祖父に髪を切ってもらいながら進路の話をしていると「人に刃物を使える職業は医者と理美容師の2つしかない。医者はメスで体の病を、理美容師はハサミで心の病を治すのが仕事」と、初めて自分の仕事について話しをしてくれました。素敵な髪型になれば気分は上がるし、施術中に仕事のことからプライベートなことまで、こんなにたくさん話しをする仕事もそうありません。髪を通してその人の内面や人生までデザインする、そんなすごい仕事があるのかと祖父の話が心に響いて、それまでは全く別の進路を考えていたのですが迷わず理美容学校への進学を決めました。
―苦労したことは。
横浜で就職した理美容室は、全国から腕を磨きに人が集ってくる店で、あんなに厳しいところがほかにあるのかなと思うくらいに徹底した指導を受けました。毎日早朝から午前3時まで練習して半年で16kg痩せ、1年先輩で指導担当だった妻とは数年仕事以外で口を利けないほど大変でした。休日にはコンテストやショーへの参加、雑誌の撮影などもあり、20代の頃は遊んだ記憶が全く無く、上手くなりたい一心でした。本当に好きじゃないとできない仕事だと思います。でも出来るようになるまで練習に付き合ってくれる先輩がいたことは本当に有難いことで、今はあの時怒られて良かったと思います。
―仕事の魅力は。
成人式や結婚式などお客様の人生の節目に携われるのがこの仕事の醍醐味。1番の晴れ舞台でその人を輝かせる瞬間や「ありがとう」と言ってくれる笑顔のためにやっています。生まれ変わってもまたやりたい、大勢の人に薦めたい仕事です。
―大切にしていることは。
当たり前のことを当たり前にやること。そして自分にとっての当たり前を常にアップグレードすることです。サロンで髪をきれいに仕上げるのは当たり前です。その上でクシやハサミ、手の当たり方、ドライヤーのかけ方、雑誌や飲み物の出し方まで、どうしたら施術中をより心地良く過ごしてもらえるかということを考えます。技術力は練習すれば上がっていきますが、お客様に対する気遣いは自分自身が気付かないことには改善のしようがありません。妻とお互いのサービスを見て気付いたことを言い合い、より良くするにはどうしたらいいかを常に話し合っています。同じお客様でもその日の気分や体調によって、以前は大丈夫だったことでも今回は当てはまらないということもあります。その人その人のニーズを見抜き、気付いていくことが大切だと思っています。
―おすすめのメニューは。
毛先のクセや根本の生えグセを見極めながら、顔の輪郭、首の長さなどを考えて、一人ひとりに似合わせる〝骨格補正カット〟を行っています。特に顔周りのカットは繊細で、違いが見えやすいショートスタイルにも自信があります。女性のシェービングもおすすめで、化粧乗りが良くなり、古い角質が取り除かれることで肌のターンオーバーが早まり美白効果も期待できます。眉のカットや鼻の脂を取り除く炭酸パックもプラスでき、完全個室のプライベート空間で過ごせるリラクゼーションメニューも用意しています。
―今後の目標と読者の方へメッセージをお願いします。
当初七飯町に店を出すことは人口の減少などから周囲に反対されたこともあったのですが、今地域の方々から応援され、支えられていると凄く感じていて、生まれ育った町にオープンして本当に良かったと思っています。ヘアスタイルやメイクを通して地元に元気になってもらい、お洒落な人を増やして地域貢献したい。なかなか思うようなスタイルになれない、今までどうにもならなかったという髪の悩みを持つ方に、うちに来て良かったと言ってもらいたいです。サロンに行くのが苦手な人にも、カフェ感覚で楽しく過ごせるお店なので気軽に来てもらえたらと思います。
(ハコラク 2019年5月号掲載)
JIZI.
七飯町本町3‐1‐17
☎0138‐83‐2324
9:00~19:00(予約優先)
火、第3月曜定休 P有り
http://www.jizi1956.com/