新型コロナウイルスの感染拡大を背景に来客減少や予約のキャンセルが相次ぐ飲食店が、料理の持ち帰りや出前に活路を見出そうとしている。ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)で、「#函館テイクアウト」などのハッシュタグを使った投稿も始まった。(深津慶太、山崎純一)
ステーキピラフの「ジョリージェリーフィッシュ」(函館市東山2、0138・86・9908)は、2月29日から従来の持ち帰りに加え、出前を始めた。常連客向けのSNSや周辺地域へのチラシ配布を通して、週末2日間で約50件の注文があったという。
2日以降は店の営業を再開したが、店内での飲食は10組にとどまった。中郷羽衣店長(40)は「外出自粛の要請があったからか家族の人数分を買い込んでいく人が多かった。急きょで準備不足もあったが、始めてよかった」と話す。
「ベイサイドレストランみなとの森」(豊川町、21・1181)は企業などのケータリングに対応してきたが、家族向けのオードブル(3人分5000円など)や弁当(1000円~)のPRを始めた。矢代健太副支配人(33)は「外食ができない家庭が多いと思い、広く利用を呼び掛けることにした」と話す。
シエスタキッチン(本町・シエスタハコダテ地下1階)の飲食店では3店が持ち帰りに対応。「パターテ」はニョッキのセット(980円)など約20種類、「お肉のつしまイリワク」は特製ハンバーグセット(1439円)や惣菜類など約30種類で持ち帰りできる。「ガパオ飯」は8日まで、ガパオライス(並600円)を持ち帰りのみ100円引きで提供するという。
海鮮居酒屋「魚まさ」(本町、53・1146)は弁当(1000~3000円)のほか、店内メニューの持ち帰りと配達に対応する。店のSNSでは、他店にも「#函館テイクアウト」「#函館オードブル」「#函館配達」のハッシュタグをつけた投稿を呼び掛けた。
運営会社の高野信子社長(34)は「1日は店内で飲食する人がおらず、開店以来初めてだった。収束が見えないが、配達など新しい試みができる良い機会にしたい」と話していた。