来年3月26日の北海道新幹線開業で、函館から東京まで始発の飛行機と最終の新幹線を利用して日帰りすると、現地の滞在時間は8時間55分。これまでの往復航路利用と比較すると1時間50分増加する。ビジネスやレジャーで東京方面を訪れる機会が多い市民は「東京で時間を有効に使える」とし、期待を膨らませている。
12月時点の航空機ダイヤを基にシミュレーションすると、現在は函館発午前8時55分の始発で東京へ向かい、東京発午後5時半の最終便で戻ると、東京での滞在時間は7時間5分。羽田空港から都心までの所要時間や飛行機の待ち時間なども考慮に入れると、実際は5時間程度となる。
一方、新幹線開業後は函館に戻る際、東京発最終午後7時20分の「はやぶさ33号」という選択肢が増え、東京の滞在時間が拡大する。東京への出張が多いという老舗レストラン五島軒の若山直社長は「現在は飛行機の最終便に乗るために、仕事を午後3時半には切り上げなければならない。新幹線開業後は、現地で商談をゆっくり進められる」と喜ぶ。
家族旅行も兼ねて、夏と冬に横浜市の実家に帰省するという函館市の主婦水上洋子さん(45)は「函館に戻る日の午後をゆっくり過ごせるというのは大きい。来年はスカイツリーを見てから新幹線で函館に帰る計画を立てています」と笑顔で話していた。
JR北海道は10月、新函館北斗―東京間の料金を2万2690円(運賃と特急料金含む)と発表。今後は、同区間の割引切符造成にも注目が集まる。市内の経済関係者は「JRの出方次第で、航空機の値段が下がる可能性がある。価格競争の面でも利用者の利便性が高まることを期待したい」としている。(山田大輔)