動脈硬化を侮っていませんか?
若年者の動脈硬化が急増している近年、その背景にはライフスタイルに伴う生活習慣、メタボリックシンドロームの急激な増加があります。さまざまな症状を引き起こす動脈硬化症ですが、一番恐ろしいのは「気付きにくい」ということです。気付いた時にはすでに重症化している人も少なくありません。手遅れにならないように普段から血管の状態をチェックすることが大切だと思います。
当検査室でも動脈の硬さの指標「CAVI」と、下肢動脈などの狭窄・閉塞の診断指標「ABI」の2つの指標を同時に測定する血圧脈波検査を行っております。検査方法は仰向けに寝た状態で、両手両足首の血圧と脈を測定します。5分程度で血圧測定と似た感覚でできる簡単な検査です。
CAVIは動脈硬化症が進んでいるほど値は高くなり、9.0を超えると約半数の人が脳や心臓に動脈硬化を発症しているという研究結果もあります。実年齢が若ければ、9.0より低い値でもこのような事が起こり得ます。 次にABIについてですが、健康な人では足首の血圧は、腕と比べると同じくらいか、少し高い値となります。正常範囲は約0.9~1.4程度です。しかし、足の動脈が詰まっていると腕の血圧に比べて足首の血圧は低くなります。ABIは腕の血圧と足首の血圧の比をみて足の動脈の詰まりを診断するというものなので、その値が低い程重症になります。
皆さんの中で、一定時間距離を歩くと足が痛む、休むと足の痛みが引く。また、上り坂や登り階段がつらいなどの症状はありませんか?動脈硬化は全身病で、いろいろなところに起こるものです。足の痛みとして症状が現れる足の動脈硬化が起きている人の10人のうち7人は、脳や心臓でも動脈硬化が起きていると言われています。頭や心臓の場合、動脈硬化がどの程度進んでいるかは、なかなか外からでは分かりません。しかし、足の動脈硬化の場合は足の血圧を測ることで簡単に進み具合を知ることができるのです。
皆さんもこれを機にぜひ動脈硬化に目を向けてみてはどうでしょうか?
(ハコラク 2025年10月号掲載)



