創業100年の伝統に一日一日謙虚に
向き合い丁寧な仕事を積み重ねる
「龍栄堂」は、江差出身の初代・田中栄末さんが、函館市弁天町にあった「柳栄堂菓子舗」で修業し、自身の干支にちなんで店名を付け鶴岡町(現・大手町)で独立したのがはじまり。大福から干菓子まで、伝統菓子はもちろん、中国菓子の月餅をアレンジした「ユーピン」など数々の銘菓を生み出し、1990年に現在地に移転。JR函館駅とメガドン・キホーテ函館店にも出店している。
あんを炊く銅鍋がもうもうと湯気を上げ、甘い香りが漂う工場で、現在職人らと腕を振るうのは3代目の田中孝明さん。地域の製菓団体青年部でモナカ皮を共同製作した「土偶最中」や、クリをスイートポテトで包む秋限定「栗の実」など人気商品は数あれど、不動の看板商品は「はこだて大納言」。道産大粒小豆を丁寧に炊き、砂糖蜜に漬け、国産天然寒天と練り上げ型抜き、表面のザラメがシャリッとするまで乾燥…。6日がかりで完成する一品は、豆の形がそのままに残るあんの中から求肥餅が顔をのぞかせ、一口に小豆の風味がギュッと詰まっている。「和菓子は手を抜くとすぐ味に出る。良い品を作り地道に暖簾を守りたい」と、受け継ぐ味を磨き続けている。
(ハコラク 2026年1月号掲載)
龍栄堂
函館市上新川町6‐7
☎0138‐45‐1872
9:00~17:30
(日曜・祝日は13:00まで)
水・第2日曜定休
P有り
キャッシュレス決済利用可




