病院での医療費のお支払いと施設基準について
皆様が病院を受診した際にお支払いいただく金額はどのように決定されているかご存じでしょうか。
思ったより高いな、安いな、と思ったことはありませんか。それは全て、2年ごとに改定する「診療報酬」に基づき決定され、病院独自で決定できるものではありません。診療報酬は、厚生労働省が医療行為を点数化し、それぞれの医療行為ごとに「1点=10円」として計算されます。例として、病院に初めて受診した際にかかる「初診料」は、現在291点と定められているため、「291点×10円」となり、2910円が診療報酬、そのうち患者様の自己負担割合に応じて1~3割の金額をお支払いいただくという仕組みです。
診療報酬点数は、医療技術の進歩や社会情勢などに応じて、医療サービス向上、高齢化における医療費の抑制などを目的に改定が行われます。改定された項目に新たに基準が設けられる場合があり、それは〝施設基準〟と呼ばれます。施設基準とは、病院の規模に基づき、人員や設備の適正な配置、診療の実績や体制を基に得られる診療報酬の基準のことです。基準を満たさない場合、病院はその項目についての届出を取り下げる必要があります。取り下げを怠ると、場合によっては多額の返還金が発生することもあります。そのため、病院における人員や設備は大変貴重な存在であり、質の高い医療を提供するためには必要不可欠となります。
私はこの度〝施設基準管理士〟という資格を取得しました。施設基準管理士は、施設基準を的確に理解し、院内の他職種にも情報共有し、適切に運用できるようサポート体制を整え、診療報酬を適切に確保し、質の高い医療を提供し続けていくために大変重要な役割だと考えています。施設基準管理士としてスタートラインに立ったばかりですが、今後も知識とスキルをアップデートし、現場と制度をつなげられるよう、そして地域医療に貢献できればと考えております。
(ハコラク 2025年10月号掲載)



