日本海と共に栄えたいにしえから続く足跡と
海町に生まれた伝説
「熊石歴史記念館」は、旧熊石町時代の1987年、町制施行25周年の節目に開館。日本海に面し、漁業を中心に開拓されてきた熊石地区では、国保存文化財「瑪瑙入土偶」が出土した縄文晩期の「鮎川遺跡」をはじめ、20カ所の遺跡から、クジラなどの海獣の骨を利用した骨角器や装飾品が見つかっており、古くから文化的な暮らしが育まれていたことを想像させる。「魚を干す竿のあるところ」を意味するアイヌ語〝クマウシ〟に由来し名付けられた地名にも先住の人々の足跡は刻まれ、江戸時代にはニシン漁で千石場所と呼ばれるほどの豊漁を誇り、松前藩の経済基盤を支える重要拠点となるなど、恵み豊かな海と共に歩んできた地域の変遷を時代ごとに伝えている。
藩政時代には、最北の領地として和人地と蝦夷地の境界に番所が置かれるなど、松前藩とのゆかりも深い熊石地区。近隣には怪異的な伝説が残されたスポットもあり、アイヌとの抗争で追い詰められた松前軍が謎の黒雲と雷鳴により救われたという「奇岩雲石」の成り立ちを、光と音を交えて再現するジオラマや、畳岩町の寺院「門昌庵」の開祖が松前家のお家騒動に巻き込まれる悲劇をドラマチックに紹介する紙芝居風の映像が人気を集める。見学すると歴史の舞台を訪ねたくなる展示も魅力だ。
(ハコラク 2021年7月号掲載)
熊石歴史記念館
八雲町熊石平町325‐3
☎01398‐2‐2200
9:00~17:00
休館日/月曜、祝日の翌日
(翌日が土・日曜の場合は開館)
※11~3月休館
入館料/大人330円
小・中・高校生160円 P有り