モダンな空間で楽しむ〝おいしい時間〟
炭火の香り漂う新しい形の寿司処
黒塗りのカウンターの上に、波打ち際のような曲線を描く木の装飾。現代的な雰囲気をまとうシックな店内には、肉の脂が炭火で炙られる香ばしい匂いが漂う。新鮮ネタをずらりと並べた木箱の前で、職人が手を鳴らしながら小気味良く握る寿司と、こだわりの炭焼き料理が味わえる「鮨・炭火 金久」。函館市内の寿司店で修業を積み、秋田県の地鶏料理店で炭焼きの技を身に付けた根津剛店主は、「自分の手で作った料理でお客様に喜んでいただきたい」と内装からメニューまで自ら手掛ける店を立ち上げた。
「良質な地場の魚、肉、野菜を使ったおいしい料理を食べながら、安心して楽しんでもらえる場所にしたい」と、日々仕入れ先を巡っては、味はもちろん、見た目、香り、触感と五感をフルに使って食材を厳選。寿司は酒を飲みながらつまめ、女性にも食べやすいよう小さめに握り、水揚げされたばかりのマグロは10日ほど熟成させるなど、最上の状態へとネタを仕込む。炭は火力の強い備長炭を使い、本場・秋田県から取り寄せる比内地鶏は高温で表面はパリッと中は極限までやわらかに焼き上げ、季節を感じる一皿に。木古内町にある4軒の牧場のみで生産され、その肉質があか毛和牛の日本一に選ばれたこともある「はこだて和牛」を使ったメニューは、年間出荷数わずか230頭という希少な肉を、足しげく精肉店のオーナーに相談することで取り扱いが実現した逸品で、〝おいしさ〟を届けるためには一切の労を惜しまない。「食べものを扱う仕事は、人の命を預かることでもある」と身を引き締める根津店主は、修業時代には何をするにも「油断するなよ」と繰り返し教わったという師匠の言葉を決して忘れず、夜の本町に新たな明かりを灯している。
(ハコラク 2020年1月号掲載)
鮨・炭火 金久
函館市本町33‐7
☎0138‐83‐8133
18:00~翌2:00
(1:30L.O)
日曜定休 喫煙可