渾身のうな重を通して父親が教えてくれた味一品一品に全力を込めて
本町の一等地に店を構える「うなぎ・川魚・和食 鯉之助」。厳選する国産ウナギをはじめ、ドジョウの柳川鍋や鯉洗いといった料理は生きた状態から調理するため、二代目の中里拓二代表は「納得いく味にさばけるまで10年はかかった」と修業時代を振り返る。創業は66年前。父・鉄之助さんが川魚料理の老舗として知られた「はいや」で25年料理番を務めた後、退職金の代わりにウナギのタレを分けてもらい杉並町で独立。翌年から現在の場所で店を営んできた。当時の本町は人がまばらで、高度経済成長期と共にウナギが市民権を獲得するまでは苦労の連続だったという。そんな父の背中を見て育った中里代表が店を継ぐ決意をしたのは18歳の時。「自分のために初めて本気で作ってくれたうな重の味に、こんなにうまいものなのかと惚れ込んだ。店を継げと言われたことはなかったけれど、あのウナギには父の思いがこもっていたのかな」と目を細める。父親から料理人としてのいろはを叩き込まれた拓二さんは、「あの時の厳しさが今は有難い。時代が変わっても苦労は生きた」と語り、いつまでも初心を胸にたゆむことなく店の味を磨き続けている。
(ハコラク 2019年12月号掲載)
うなぎ・川魚・和食 鯉之助
函館市本町32‐11
☎0138‐51‐5982
11:30~14:30
17:30~20:30
(各30分前L.O)
不定休 契約P有り
分煙 キャッシュレス決済利用可