山海の自然に囲まれた 広大な牧草地が生み出す大パノラマと八雲牛を堪能
街中から少し離れ、サイロが点在し見渡す限りに畑が広がる風景の中、八雲駅近くから15分ほど車を走らせる。坂の先にある「八雲町育成牧場」は、1967年より町が運営する牛の飼育牧場。各農家からの飼育委託を受け、305haもの広大な土地に年間200頭ほどの牛が暮らしているという。牧場の奥には、畜産資料展示施設として八雲町の酪農に関する資料や写真が見られる展望台があり、八角形の塔にあるらせん階段を上がると見えるのが360度に渡る大パノラマ。夕日が沈む方角には広大な牧草地帯が続き、噴火湾沿いで市街地に集まる明かりが輝きはじめる時間帯は幻想的な美しさ。鳥のさえずりを聞きながら展望台を後にすると、興味津々の様子で近づいてきた人懐っこい牛たちと顔を合わせ、ほっこりとした気持ちで再び海岸線へと向かった。
住宅が立ち並ぶ海岸沿いに入ると、「カフェくるる」のオレンジ色の扉が目に留まる。平野友子店主が自宅を改装し2017年にオープンした店内は、2年前発生した台風の風倒木が活用され木のぬくもりに溢れている。看板メニューは八雲牛料理とクレープ。平野店主の夫は〝北の情熱八雲牛〟のブランド名で牛の飼育から加工・販売までを一手に担う「平野畜産」を営んでおり、「八雲牛を少しでも手頃な価格で味わって欲しい」とやわらかで脂の甘味を感じるハンバーグなど、自社で手作り加工する商品を使って料理を提供している。クレープは定番のスイーツ系からピザチーズといった甘くない一品まで35種を超え、新メニューの考案にも余念がない。友達とわいわい立ち寄る子供たちから女子会を楽しむ人まで、地元の人々が憩うこの店の味は、ドライブの締めくくりに特別な思い出を残してくれる。
(ハコラク 2019年8月号掲載)
カフェ くるる
八雲町内浦町135-7 ☎090‐6872‐5206
11:00~19:00
(日曜は17:00まで)
※食事は各1時間前L.O、ご飯メニューは無くなり次第終了
月曜定休 喫煙可 P有り(4台)