名物マスターの情熱に惹かれ街を思う人々が語り合える場所
教会の鐘の音が聞こえる大三坂沿いの角地。昭和初期築造の和洋折衷様式の民家をリノベーションし、19年前オープンした「茶店バーやまじょう」は、風情ある街並みにしっくりとなじんでいる。かつて劇場「巴座」に出入りし、8mmフィルムで自主作品を手掛けるなど、映画をこよなく愛する太田誠一マスターは、「神様が結び付けてくれた」と言う森田芳光監督の作品「キッチン」をはじめ、ロケコーディネーターとして函館を舞台とした数多くの映像制作に携わっており、店内では貴重な写真や台本を見ることができる。「映画は文学、演劇、音楽、美術、そしてカメラなどが合わさる総合芸術。みんなで努力し助け合い、補い合って作る過程は人生そのもの」と仲間と共に一つのものを作り上げる面白さに魅了され、生粋の元町っ子として「函館港イルミナシオン映画祭」や「函館西部地区バル街」の発起人になるなど、街おこしにも奔走してきた。〝やまじょうブレンド〟の苦味を味わいながら地元の将来を語り合うも良し、牛肉をトロトロに煮込んだ「ハヤシライス」を食べながらのんびりと思い出話に花を咲かせるも良し。映画を愛し、函館を愛し、何より人を愛する太田マスターの人柄は、函館を思う人々を惹き付けて止まない。
(ハコラク 2019年7月号掲載)
茶店バーやまじょう
函館市元町30‐5
☎080‐3237‐3946
11:00~23:00
水曜定休 喫煙可