滋味深く喉越し滑らか千軒産の十割そば
国道２２８号線沿いの山中にある「千軒そば」は、福島町千軒地区の町おこしを目的に２００５年開店した、千軒そば生産会の直営店。例年、大千軒岳の麓で７月に作付けしたそばを９月に収穫し、近隣の生産拠点施設で石臼式製粉機を使いそば粉に加工。生産会の佐藤孝男会長が「千軒の昼夜の激しい寒暖差が強い甘みを生み、収穫後に自然乾燥させることで豊かな香りを引き出す」と胸を張る、自慢のそば粉のみを使った十割そばを求めて、道南はもとより、訪日観光客も訪れる。
厨房に立つのは中塚かおりさん、岡本智実さん、館政愛澄さん、品川美恵さん４人の〝地元の母さん〟。メニューはもりそばやエビ天そばなどを用意しており、地産地消を掲げ、そばの味を引き立てるつゆのダシにも地場産シイタケやコンブを中心に活用し、甘めに仕上げる。秋の気配を感じるこの時期のおすすめは、山の幸が彩る「冷山菜そば」。つるりとした舌ざわりのワラビ、タケノコ、ナメコと一緒にそばをすすれば、鼻腔をくすぐる力強いそばの風味や香り、滋味豊かな味わいに夏の暑さで疲れた体が癒やされる。
（ハコラク ２０２４年１０月号掲載）
千軒そば
福島町千軒２８３
☎０１３９‐４７‐２７７２
１１：３０～１４：３０
（１４：１５Ｌ．Ｏ）
水・木・土・日曜のみ営業
※今季の営業は１２月中旬までを予定
禁煙 Ｐ有り
道南 秋蕎麦を食す⑦／千軒そば
山菜を乗せた「冷山菜そば」（９００円）は、さっぱりとしているので食欲が落ち込む季節でも食べやすい。セットの黒米入りミニサイズご飯も町産食材を使用。
そばは水回しまでは手作業で行う自家製麺。「ゆっくりゆでないと、短く切れたり、固めになってしまう」と熱が伝わりやすい鉄釜に水を張って、やや長めのゆで時間を取り、岩部川水源の冷たい水でキリッと締める。
地元で採れた山菜をナメコと一緒にダシじょう油に漬け込む。味がなじみやすいように切り方を工夫している。
朝から仕込みを開始する（左から） 中塚さん、岡本さん、館政さん。遠方から足を運ぶ来店客を明るく朗らかにもてなす。
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