函館市内でのワイナリーの開設、ブドウ栽培を計画しているフランス・ブルゴーニュ地方の老舗ワイナリー「ドメーヌ・ド・モンティーユ」のエチエンヌ・ド・モンティーユ社長は8日、函館コミュニティプラザ(Gスクエア、シエスタハコダテ内)で行われた渡島総合振興局主催のセミナー「道南産ワインの可能性について」に出席し、「2019年にもブドウを植えることを予定している」などと計画について語った。
信州大学特任教授の鹿取みゆきさんによる公開インタビューに応じたモンティーユ社長は「北海道で新たなワインの歴史をつくるためにやってきた。良いピノ・ノワールとシャルドネをつくる自信がある」と語り、函館進出を決めたきっかけについて「日本中の土壌や気象など慎重に研究を重ねた結果」と述べた。
道南はフランス・ブルゴーニュ地方に比べて雨量が多いことについて「まずは地下水路を整備すること。その他にもさまざまな解決策を考えている」と自信をのぞかせた。
また、醸造開始時期について「(酒税法など)日本の法律にのっとり手続きを進める」とし、酒造免許が取得でき次第、自社栽培のブドウによるワイン醸造に先駆け、国内・道内産ブドウを購入し、醸造する可能性についても示唆した。
日本のワインについては「初めて日本のワインを飲んだ時、シャルドネとピノの品質に驚いた」とたたえる一方で「米国やニュージーランドなどの新興地に比べ、苗木の本数が足りず、品質も良くない点は改良が必要」と提言した。
このほか、セミナーでは鹿取さんによる、世界と日本・道南のブドウ栽培における気象条件やワインの消費動向などを比較し、道南産ワインの可能性について述べた講演や、函館市内のワイナリー「農楽蔵」の佐々木賢さん、乙部町の「富岡ワイナリー」の飯田浩さんの2人が道南でのブドウ栽培の現状について基調報告した。(大谷健人)