テーオーホールディングス(テーオーHD、函館市港町3、小笠原康正社長)は1日、連結子会社が運営するテーオーデパート(梁川町)を8月末で閉店すると発表した。人口減少に伴う市場規模の縮小や、新型コロナウイルスの影響で来店客が減少、主力の衣料品の売り上げ低迷で近年は赤字経営が続いていた。
同店は1962年にクレジットデパートテーオーとしてオープンした。店舗は同名の子会社・テーオーデパート(伊藤由喜社長)が運営し、地下1階、地上6階建てで延床面積は1万9500平方メートル。
開店当時道内では少ないクレジットポイントサービスを取り入れた「テーオーカード」を運用。主力の衣料品を中心に、食料品や化粧品、ブランド品、雑貨、家具など幅広くそろえテナント約20店舗が入居。売上高は1980~90年代に最盛期となり、2017年のHD化以降では、18年5月期に19億8400万円を売り上げていた。
小笠原社長は1日に開いた会見で閉店理由について「少子高齢化で業績が振るわず、赤字決算が続く中、コロナ禍が追い打ちをかけ、客足がさらに遠のいた」と説明した。
16年ごろから黒字転換を目指し、リニューアルの計画を進めてきた。同社長は「テナント誘致に取り組んだが、手を挙げる先はなく、自社での細かいマイナーチェンジを続けてきた。このまま赤字が続けば、ほかのグループ会社にも影響が及ぶ」とし、1月20日に開いた取締役会で閉店を決定した。
HD内では近年、住宅事業の一部縮小や、スポーツクラブの事業譲渡など不採算事業の切り離しを進めている。同社長は「HDではデパート閉店が最後の事業閉鎖と考え、来年度からは攻めの一手を打ち、他部門の拡張にも注力していく」とし、8月末閉店のため23年5月期決算には影響は軽微とする。来期以降の決算に関しては「デパートの損失がなくなり、1億円以上の増益が見込まれる」と見通しを語った。
デパートには食料品売り場や100円ショップがあり、生活必需品を購入していた近隣住民の暮らしに与える影響も大きい。デパート建物は引き続きテーオーデパートで保有し、「売却や賃貸などさまざま考えられるが、活用に関しては白紙。後を継いでデパートを続けてくれる人がいればありがたい」と話した。
入居テナントなどの去就に関しては今後協議が行われるとみられ、現時点で2000人以上が運用するテーオーカードに関しては今後も運営を続けていく方針。(飯尾遼太)
■全従業員の雇用確保を 市長、会頭が支援約束
テーオーデパートでは、昨年11月末時点でアルバイトを含む従業員79人が勤務。閉店後の従業員の再就職に関して、小笠原社長は「グループ内での配置転換をメインに考えているが、全員は難しい。取引先の同業種などへの就職を含め、希望を聞きながら対応していく」とした。
また、同日午前に函館市の工藤寿樹市長、函館商工会議所の久保俊幸会頭に面会し「再就職への全面的支援を約束いただいた。今後、全社員の雇用が確保できるよう誠心誠意取り組んでいく」と語った。