米国のトランプ大統領がイラン核合意からの離脱を表明し、中東情勢が悪化する懸念から原油相場が上昇している。この影響が直接反映されるのは少し先だが、函館市内ではすでにガソリンや軽油などの石油製品の価格が上昇し始めており、地元の企業や漁業関係者などからはさらなる高騰を不安視する声が上がっている。
市内でフルサービスのガソリンスタンド(GS)2店舗を運営する池見石油店は14日、卸値の上昇を受け、レギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格を4円値上げして149円とした。他のGSでも同日から4円前後の値上げが目立っている。同社担当者は「これ以上に上がると固定客がセルフの店に流れてしまう恐れがある。早く落ちついてほしい」と漏らす。
道南地区で毎日乗り合いバスを200台以上稼働している函館バスは「燃料費が上がっても運賃に転嫁することはできず非常に大きな問題。運転手に対して急発進や急加速を避けるなど改めて指導し、燃料節約に取り組んでいくしかない」としている。
操業に多くの燃料を使う漁業関係者からも懸念する声が。6月から始まるスルメイカ漁では市内から松前沖に出る船も多く、その場合は9トンクラスの小型船でも1000リットルほどの燃料を消費するという。市漁協は「燃料が上がっても漁に出ない訳にはいかない。高齢の漁業者が廃業するきっかけにならなければいいが…」と心配する。
函館地方石油業協同組合は「先月下旬からガソリンなどの卸値が上がっている中、GSの各事業者は店頭価格への転嫁を踏み留めていたが立ち行かなくなってきた」とし、今後については「世界情勢などさまざまな要因が絡むので予測は難しいが、現時点で元売り会社がこれ以上卸値を上げることは考えにくく、価格は落ち着くのでは」との見通しを示している。(金子真人)