函館市内や近郊で近年、ドラッグストアの店舗が急増している。住民に加えて北海道新幹線開業などで増加している観光客の需要を取り込もうと、各社は道南を重要な商圏と位置付けており、大手4社の合計出店数は直近2年で10店を超える=別表。来年9月にはツルハ(札幌)が函館市的場町10に新店をオープンする予定で、各社の出店攻勢はしばらく続きそうだ。
ツルハドラッグ函館的場店の店舗面積は約1400平方メートルで、駐車場は47台分用意。市内では五稜郭店、桔梗店に次ぐ大規模店となる。道南では2015年の七飯鳴川店に続く出店で、同社は「需要が見込める地域への集中出店を推進したい」とする。
道内で「サンドラッグ」を56店手掛けるサンドラッグプラス(札幌)は、15年の美原2丁目店を皮切りに2年間で路面店を3店開業。店舗開発担当者は「道南は重要なエリアと考えており、少なくともあと2、3店増やしたい」と意欲を見せる。
一方、サッポロドラッグストアー(札幌)とダイコクドラッグ(大阪)は、ベイエリアや大沼公園など主に外国人観光客が立ち寄るエリアへの出店が目立つ。直近2年で5店を開業したサッポロドラッグストアーは「(特定の地域に集中して出店する)ドミナント戦略を進めている」(同社)としており、市内で23店手掛けるツルハに店舗数で迫る勢いだ。
ダイコクドラッグは今年7月に初進出。英語や中国語を話せるスタッフを配置し、海外客に人気の化粧品や薬類、ビタミン剤などを豊富に並べる。
こうした各社の進出による競争激化を最も象徴しているのが函館市の田家、白鳥地区で、半径100メートル以内に大手3社の店舗が集結し、しのぎを削る。ドラッグストアで買い物する機会が増えたという白鳥町在住の主婦(60)は「広告を見比べて、安い店でなるべく買うようにしている」と話す。
価格競争で住民の利便性が向上する一方で、近隣のスーパーには影響が出始めている。田家町16に「ラルズマート白鳥店」を構える道南ラルズ(函館市港町1)管理部の中村善幸ゼネラルマネジャーは「ドラッグストアと重複する食料品の一部は、売り上げがマイナスに響いている」とした上で「価格面で勝負できるかどうか商品ごとに判断し、全体の売上高が落ちないよう対策を練りたい」と話している。(山田大輔)