約60年の長きにわたり、函館市内や近郊の模型愛好家に親しまれてきたウオツ模型店(宮前町29)が19日、店主だった魚津雅美さん(享年95)が今年6月に亡くなったことで営業を終えた。棚やショーケースに模型や工作用品が並ぶ昭和の模型店の姿を色濃く残し、多くの模型愛好家に愛された店は姿を消す。
ラジコンクラブの事務局を置いていた縁で店を手伝う水島隆さん(73)によると、同店は魚津さんが1963年ごろ創業。魚津さんは長年店に立ち続けたが、ここ3年ほどは骨折や高齢者施設へ入所したこともあり休業が続いた。亡くなった後、子どもも居なかったことから、関係者で話し合った結果、営業終了を決めた。
GLAYのギタリストHISASHIさんが子どものころに通った模型店としても知られ、GLAYファンの聖地の一つとしても知られていた。
12日から在庫一掃セールを行い、営業終了を惜しむ多くの模型愛好家が続々と来店した。期間中はプラモデルや工具などの商品が通常の半額、スプレー塗料は全種類200円とあってまとめ買いをする人や、最終日には愛好家同士で店の思い出を語り合う場面も見られた。
東山2の歯科技工士、岩崎泰和さん(56)は「子どもの頃から来ていた店で、店内の配置が当時と変わっていない。最終営業はやはり寂しい。量販店には無い商品も多く引かれるものがあった」と残念な表情を見せた。水島さんは「19日は実質的に最後の営業。建物は最終的に取り壊すことになる」と話した。(市丸和秀)