函館開発建設部が建設を進める函館江差自動車道(約70キロ)のうち、茂辺地インターチェンジ(IC、北斗市茂辺地)―木古内IC(木古内町大平)間を結ぶ「茂辺地木古内道路」(16キロ)は、2021年度末の開通に向け大詰めを迎えている。すでに舗装工事も完了し、情報板や柵など、付帯設備の設置を残すのみとなる。開通は今年3月の見込み。(神部 造)
同道路は1994年に事業化し、01年に着工。総事業費は788億円。全区間が2車線で、設計速度は80キロ。区間内には新亀川大橋(473メートル、橋下高50メートル以上)をはじめとする11本の橋、渡島丸山トンネル(仮称、2518メートル)があり、一部に不良地質などはあったものの工事には大きな困難はなく、おおむね順調に進んだ。
しかし、当初19年度の開通を予定したが、2年遅れた。要因は16年に調査を始めた「幸連5遺跡」(木古内町幸連)の存在。同遺跡は縄文前期~後期の遺構が複雑に絡み合った状態で見つかり、調査員を最大限増員しても記録保存が追い付かないことから19年秋まで調査を続けた。100万点を超える遺物が出土し、中でも18年に見つかった人の顔を描いた土製品は、縄文時代の出土品としては全国でも類を見ないものだった。
同道路開通に伴い、函館IC~木古内IC間の所要時間は約30分から24分に短縮。昨年開通した函館新外環状道路と併せ、函館空港から木古内町まで40分程度で行けるようになり、新外環開通前と比べると30分以上の短縮となる。冬期間の定時性や安全性も確保しやすくなり、物流や医療などで一層の効果が期待される。
また、最低でも19・4メートルの高台を通ることから、仮に津波に襲われたとしても被害を受けにくい。波及効果は木古内町にとどまらず、渡島西部地域へのアクセスも短縮されることから、新型コロナウイルス感染終息後は函館から松前方面へ向かう周遊観光の活性化も期待される。
■函館江差自動車道
函館IC(函館市桔梗町)を起点に、江差町に至る約70キロの高規格幹線道路。1990年に事業に着手し、国道228号に並行する形で整備を進める。2003年までに北斗中央ICまでの8キロが開通。現在は北斗茂辺地ICまでの18キロが供用されている。木古内町から1998年に計画路線に指定された松前半島道路に接続する予定。