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公立はこだて未来大学開学20周年特別企画「まず、やってみよう」⑤/「化けましょう」胸に道を切り開いた1期生

 「今年大学を受験する皆さんは、入学すれば、滅多になれるものではない第一期生になります。さぁ、いっしょに化けましょう」―。公立はこだて未来大学初代学長を務めた伊東敬祐氏は、最初の大学案内で強烈なインパクトを志望者に植え付けた。推薦も含めて全国から1968人が受験した中、8・8倍の高倍率をくぐり抜けて入学したのは251人。ある者は大学を飛び出して活動し、ある者は大学にこもって研究に没頭し、それぞれが道なき道を歩んだ。1期生も30代後半から40代に差し掛かり、社会のトップランナーとして活躍している。
 
 仙石さん 大学祭で街を盛り上げ

 進学志望の函館の高校生にとって、地元に残るには大学や短大、専門学校の数が少なく、選択肢が限られていた。待望の新大学に、仙石智義さん(38)=函館大付属柏稜高卒、シンプルウェイ勤務=は「もともと文系だったが、これからは情報技術のスキルが求められる」と情報アーキテクチャ学科に進学。ガラス張りの校舎に衝撃を受け、「既成概念にとらわれず、自由な発想で勉強できる」と期待感を抱いた。
 卒業後、函館市青年センター、函館コミュニティプラザ(Gスクエア)でセンター長を務めた仙石さんにとって、まちづくりに携わる大きなきっかけとなった出来事がある。初めての大学祭で実行委員を務めた後の2000年10月、駅前・大門の活性化を担うはこだてティーエムオーの職員と市都市建設部の職員が実行委員に会いにやってきた。
 「山を下りへんか?」
 大学は亀田中野町の丘の上にあることから、学生たちは帰宅することを〝下山〟と称していた。当時のティーエムオー職員から関西弁で告げられたのは、山を下り、街に出て活動してみないか―という打診。仙石さんらは他校の学生も巻き込んで01年7月に合同大学祭「大門祭~ガクセイレボリューション21」を開き、旧さいかデパートのビルなどを会場に3日間で約3000人を集めた。「大学ができた時の市民の期待が大きく、街にも出やすかった。街の大人たちがきっかけを与えてくれた」と、仙石さんは今も感謝する。
 
 冨原さん 映像制作に魅了、進路の決め手に

 1期生のうち女性は56人で、中でも渡島・桧山からの入学は16人。そのうちの一人、冨原望さん(39)は函館北高から情報アーキテクチャ学科に進学した。「高校まではコンピューターの授業といっても、たまに授業を受けるだけ。パソコンがずらりと並んでいるのが新鮮でした」
 冨原さんの進路を決定づけたのが、1・2年の必修科目「コミュニケーション」の授業。さまざまな角度から表現力やコミュニケーション能力を学ぶ中、その一環で小さなビデオカメラを渡され、自分でテーマを決めて撮影、編集してVTRを作る作業に没頭した。「大学の事務局でカメラを貸し出していて、授業が終わってからずっと借りていた。自分の好きなものが見つかった」。
 その流れから地元のケーブルテレビ局・NCVの関連会社に入社し、現在も勤務。「作られたものに乗っかるのではなく、自分たちで考えていくのが楽しかった」と述懐する。
 
 大久保さん 学生ベンチャー企業立ち上げ

 未知の可能性を秘めた大学は、全国から多くの学生を引き寄せた。千葉県出身の大久保彰之さん(40)は「面白そうな大学」と志望、複雑系科学科の1期生となった。
 当時興味があったのは、食物連鎖をはじめとする生物学。「実際入ってみると直接勉強したいテーマはなかった」というが、1年時の終盤、起業やベンチャーに関する4日間の集中講義が転機となった。講義を担当し、01年から未来大教授となった鈴木克也氏と10人ほどの学生で任意団体「函館ベンチャープロジェクト」を立ち上げ、地元企業を紹介するCD-ROMの制作などを手掛けた。大久保さんは主に発注元の企業や団体との交渉を担い、「お金をいただき、責任を持って納品するという作業を学生時代のうちに経験できたのが大きかった」と振り返る。
 大久保さんは卒業後も函館に残り、04年に「函館ベンチャー企画」として法人化。現在も同法人の代表理事を務めながら、一般財団法人「北海道食品開発流通地興(ちこう)」の理事として、北海道の農水産物を海外に売り込もうと奮闘を続ける。
  
 坂本さん プログラミング学び学問の道へ

 大学での研究を基に、そのまま学問の道に進んだ1期生も。情報アーキテクチャ学科に入学した小樽出身の坂本大介さん(39)は未来大でプログラミングやデザインの楽しさを覚え、デザインコンペへの応募や函館から飛び出しての発表などを精力的にこなし、経験を積んだ。
 01年8月に同大講師が主導し、国内外のアーティストと学生が共同でマルチメディア作品をつくるワークショップ「アート・ハーバー」に参加したことが印象深いと話す。「海外のアーティストは日本人では考えつかないような突飛なアイデアを出してくる。普通の大学では体験できないことだったと思う」
 卒業後は未来大の大学院に進学、在籍中から知能ロボティクス研究所(京都)にインターンシップで入り、人型ロボットのシステム開発などに従事した。東大や早稲田大などで講師を務めた後、2017年に北大大学院情報科学研究院の准教授に就任、コンピューターをより使いやすくするための研究を続けており、「未来大そのままです」と笑う。
 
 「いっぱい失敗して」

 伊東・初代学長は1期生を「おもろい奴が多い」と評した一方、1期生たちは学長の発した「化けましょう」に多大な影響を受け、学生の挑戦を応援する函館の土壌にも助けられながら道を切り開いた。同窓会長を務める仙石さんは「多様性や、研さんを積むことの大切さを未来大に教えてもらった。失敗することも経験のうち」。坂本さんも「まずやってみて、失敗して、どう取り戻すかを体験するのが学生。学生のうちにいっぱい失敗してほしい」とエールを送る。(千葉卓陽)

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