【八雲】延伸開業時期が2038年度末との見通しが示された北海道新幹線の札幌延伸に向け、建設工事が進められてきた「野田追トンネル」(全長約8・2キロ)が、8日貫通した。長万部側の北工区と八雲側の南工区がつながる瞬間を、工事関係者や町民らが見守り、貫通を祝った。
同トンネルは2014年から2工区に分けて工事が進められ、このうち北工区(4・45キロ)の掘削完了を残すのみとなっていた。
この日は工事関係者に加え、町民と町職員の計17人も参加。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構の担当者から工事の内容の説明を受けた後、工区同士を隔てていた壁へ掘削機械が穴を開ける瞬間を見学した。午前10時10分ごろ、2つの工区を隔てた岩盤の上部に穴が開くと、隣の工区の明かりが見えると同時に涼しい空気が流れ込んだ。工事関係者と見学者は万歳三唱を行い、全員で貫通を祝った。
参加した同町の中島義博さん(65)は「新幹線が完成したら、ぜひ娘や孫のいる東京へ、新八雲駅から新幹線で出かけたい」と話していた。
同機構道新幹線建設局八雲鉄道建設所の若公(わこう)雅敏工事長は「非常にもろい地質で、周囲を固めながら掘削した。月に20メートルしか進まないこともあり苦労したが、無事に貫通の日を迎えることができた」と難工事を振り返った。
同トンネルでの土木工事は来年3月30日までの予定で、今後は新幹線が走るために必要な軌道や電気設備の工事を順次進める。(市丸和秀)