商船三井客船(東京)の豪華客船「にっぽん丸」(2万2472トン)が28日、函館港若松埠頭(ふとう)に寄港した。道内へのクルーズ船の入港は、コロナ禍以前の2019年11月に同港に入ったセレブリティ・クルーズ社(米国)のセレブリティ・ミレニアム(9万963トン)以来、2年4カ月ぶり。感染対策で歓迎セレモニーはなかったが、地元は歓迎。乗客も函館朝市などの観光地巡りを楽しんだ。
にっぽん丸は、乗客には乗船当日も含めて2回のPCR検査を実施するほか、船内でも独自の感染防止対策を講じ、函館港クルーズ船受入協議会が求める条件をクリアして寄港した。26日に横浜港を出発し、函館が初寄港地だった。乗客定員は400人だが、半数以下の140人が乗船した。
午前7時40分ごろに着岸すると、続々と乗客が下船して観光地を目指して出発した。市内や近郊の名所を目指すバスツアーも人気だったが、個人行動を楽しむ人も多かった。
同船で知り合って旅程をともにしているという、東京都の相川和代さんと岡田幸子さんは「風は強いが雪がなくて歩きやすそう。朝市や五稜郭に足を運んで函館らしさを満喫したい」と話した。
函館朝市にも乗客が訪れ、農海産物をお土産に購入する姿も。海産物販売店の店主は「コロナ前の乗客数に比べればかなり少ないが、来てもらえるだけでもありがたい」と話していた。同船は28日夜に函館を離れ、翌29日は室蘭に入り、大船渡(岩手)を経て31日に横浜港に戻るという。
今年度の寄港はにっぽん丸の1回のみだったが、新年度は国内3社で計6回の入港を予定する。市港湾空港部は「まずは無事寄港が実現しうれしい。今後も安全に寄港できるようにしていきたい」とした。(小杉貴洋)