函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町)では、31日までの臨時休館中に甲板など屋外の塗装作業を進めている。政府が北海道などで継続している緊急事態宣言を25日にも解除する見通しとなったことを受け、営業再開が早まる可能性もあるとみて作業ペースを上げている。
摩周丸は今年2月に函館どつくで船体外板塗装を行い外観は美しくなったが、館内の甲板などは元の岸壁に戻ってから、同館を管理運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会が定期的に行う修繕の一環として手掛ける予定としていた。
本来は函館どつくから戻り3月上旬から営業を予定していた。その場合はスタッフが客の安全確保を優先するため塗装に手が回らないほか、塗料の臭いで客に迷惑が掛かるため作業時間は十分に取れないはずだった。しかし、北海道独自の緊急事態宣言や政府の同宣言で臨時休館となったためメンテナンスを計画したが、同宣言の解除が前倒しする方針の報道を受け、さまざまな作業のスピードを上げている。
塗装は同法人スタッフで、元青函連絡船の乗組員が行う。最後の部分となった船首部の甲板(非公開)は、おおよそ1年に1回行う作業で、船の係留に必要な機器などをグレーに塗った後に床部を手掛け、きれいな青色にした。
同法人の高橋摂事務局長は「連絡船に関わっていたスタッフがお世話になった船のため、また、恥ずかしくない姿を見てほしいという気持ちを込めて丁寧な作業をしてくれる」と話していた。(山崎純一)