青森大学が行った北海道新幹線に関する調査で、青森市民の54%が「新幹線開業後も函館・道南へ行く機会が変わらない」と考えていることが分かった。函館・道南へ出向く頻度も、55%が「ほとんど行かない」と答えており、青函交流の活発化に向けた施策展開が、改めて課題となりそうだ。
調査は新幹線開業前の昨年8~9月、「青森市と新幹線の関係性」をテーマに20代以上の青森市民253人を対象にアンケートを郵送。うち87人(34・4%)から回答を得た。
函館・道南へ出向く頻度について「ほとんど行かない」と答えたのが55%で、「2年に1回以下」が24%、「1年に1回程度」が14%で続いた。開業後に出向く機会が増えるかとの設問には54%が「変わらないと思う」と答え、「増えると思う」は43%。「減ると思う」も2%あった。
また、北海道新幹線開業後の青森駅、新青森駅や駅周辺について、新青森駅に関しては48%が「今と変わらない」と答えた一方、青森駅は53%が「すたれていく」と回答。
北海道新幹線が及ぼす影響・効果(複数回答)については「青森駅に乗り入れる特急列車が減り、青森駅を利用する人が減る」との回答が46人で最も多く、「駅周辺の街並みが空洞化する」と「青森市一円を訪れていた観光客を道南に奪われる」が45人で並ぶなど、悲観的な見解が目立つ。青森市が今後力を入れるべき施策(複数回答)では、道南との観光連携強化が44人と最多で、新青森駅へのアクセス改善や青森駅一帯の整備を望む声も多かった。
調査を行った同大の櫛引素夫准教授は「青森市民にとって、函館の存在感が薄れている感があるが、出向く頻度が増えるという回答が4割以上あったのは大きい。関心は高く、日常生活の中で函館が登場する機会は増えていると感じる」と指摘。その上で「自治体や経済界が(新幹線の運賃や本数など)地元住民に目を向けた施策をJRに要望していく方策がとれない限り、口先だけの青函連携で終わる」と警笛を鳴らしている。(千葉卓陽)