郵船クルーズの豪華客船「飛鳥II」(5万142トン)が6日、函館港に寄港した。市内観光を楽しむオプショナルツアーとして初めて、遺愛女子高校の見学ツアーが組まれた。乗客33人が参加し、生徒たちの案内で、国の重要文化財の旧宣教師館(通称・ホワイトハウス)などを見学した。
同船の函館寄港は今季3回目。乗客560人を乗せて2日に始まった横浜発着の春満喫クルーズの最中で、函館が最終寄港地。外国客船寄港時のおもてなし活動を続ける同校の協力で初めて校内ツアーが実現した。同行した郵船クルーズの河野凱さんは「寄港地の学校を見学するツアーは全国でもほとんどない試み。参加者は生徒との触れ合いを楽しみにしてきた」と話す。
英語科3年生有志が案内役を務め、礼拝で使用する講堂(国の登録有形文化財)や校舎、制服の来歴などを説明した。吹奏楽局の2、3年生約60人は歓迎の演奏を披露し、乗客は手拍子や拍手で楽しんだ。1908年建築のホワイトハウスでは、往時の暮らしを知ることができる調度品や建物のおもむきに関心を示していた。
妻とクルーズ中の栃木県の佐藤雄児さん(80)は「函館は何度も来たことがあるので、このツアーを楽しみにしていた。吹奏楽の演奏は迫力があって素晴らしい。生徒たちの案内も良かった」と喜んだ。
同校英語科3年の寺沢彩香さん(17)、宿村茉那さん(17)、佐々木綾香さん(17)は「日本人の乗客を学校に案内するのは新鮮。遺愛の歴史を勉強する機会にもなり、いい経験でした」と話していた。(今井正一)